あんさつ。 | ナノ

28

『ジメジメだねー…』
業「うん」
『なんか…雨ばっかり見てるとやる気でないよー』
業「じゃあ、昼寝でもする?」
『……………うん、私に決定権が無いのはよく分かった』

「昼寝でもする?」その言葉とほぼ同時に私の体は浮き上がり、ポスッとベッドに降ろされた。
…初めてきた、カルマくんの家。修学旅行で発覚してしまった、私の社会のヤバさ。そしてカルマくんの宣言通り、ただ今2泊3日でお勉強…の筈なんだけど、どうしてこうなったのか私は今、カルマくんの抱き枕状態。

『あの…勉強は?』
業「んー…中止…?いーじゃん。お昼寝しよ?」

…カルマくんは私を放してくれる気はなさそうです。
カルマくんのいい匂いと、後ろから伝わってくる体温が心地よくて、本当に寝ちゃいそう。
…私…お勉強、しに来たはず…なんだけどなぁ…。
カルマくん、あったかい…。

『…ねぇ、カルマくん…本当に、寝ちゃうよ…?カルマくん、いい匂いするんだもん…』

朦朧としてくる意識の中、私のお腹に回されている手を縋り付くように掴み、言う。
…あぁ、だんだん瞼が重くなってきた…。

業「寝ていいよ、結花。俺も寝るから、ね?…って言うか、昼寝でもしてないとこれ以上は理性保ってられる自信ないし」

私の頭を撫でて微笑んだあと、何かを呟くカルマくん。でも半分以上寝かけている私は上手く言葉を聞き取れず…。

『…?カルマくん…そっちが、いい…』
業「ん?なに?」
『こっち、やだ…。カルマくんの方、向いて寝るの…』
業「…こう?」

くるり、と簡単に体の向きを変えられて、カルマくんの胸に顔を埋める姿勢になる。

『うん…おやすみ…』

いい匂い…とカルマくんの胸に顔を埋め、私は残っていた僅かな意識を手離した。

業「おやすみ、結花…」

…額に、柔らかな温もりが触れた気がした。
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