あんさつ。 | ナノ

25

『…カルマくん、血が…』
杉「…なぁカルマ…お前は一体、誰の為に怒ってるんだ?時雨か?それとも…自分か?」
業「っそんなの、結花の為に決まってる!!」
杉「なら!!」

杉野くんの言葉に食って掛かったカルマくんの胸ぐらを、杉野くんが掴み声を張り上げた。

杉「…なら、なんで時雨を困らせてんだよ?時雨の為を思うなら、安心させてやるのが一番先じゃねぇのか?…気付いてやれよ…時雨が泣きそうな顔してることに」
業「!」
『…え…?』

…私…泣きそうな顔、してるの…?

業「結花…」

杉野くんの言葉で、私の方を向いたカルマくん。
さっきまでの怒りはどこへやら、私を見つめる瞳は心配する様にこっちに向けられていた。

業「…結花…ごめん」
『カルマくん…、』

力なく項垂れたカルマくんは、杉野くんの手から解放されると、ゆっくりと私の方へ歩いてきた。
私の頬に触れようと、そっと伸びてきた手は、あと数センチの所でぴたりと止まる。どうしたのかと見上げれば、自分の手が血まみれであることに気付いたカルマくんは、自嘲気味に笑って、その手を引込めた。
私はポケットからハンカチを取り出して、まだ少し血が止まっていないカルマくんの手を止血する。

『とりあえず、行こう?着いたら先生が、何とかしてくれると思うし………カルマくん』
業「ん?」

…ちゅ。

業「!?//」

白くなるほど噛み締められた唇が心配で、でも手で開くように促そうにも私の両手は今、カルマくんの止血のために使っていて、ならばと自分から軽いキスをした。
…カルマくんの口は出血の危機を免れたけど、代わりにカルマくんの顔全体が真っ赤になった。


業(これが天然だから恐ろしい…)
渚(僕らの存在忘れてるよね、これ)
カ(後でそれに気付いた結花の反応が楽しみ…)
神(結花ちゃん可愛い…)
杉(一件落着、か…?)
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