あんさつ。 | ナノ

17

   …コツ、コツ、コツ、コツ…
うるさいです、先生…。
明らかに、私たちE組の集中を乱してる。だけど…
   カリカリカリカリ…
分かりやすく教えてくれた殺せんせーのおかげで、みんな迷いもなくスラスラ解いていく。
………あれ?
私…記憶力悪いから…もしかしたら気の所為かもしれない…けど。ここの問題…カルマくんに教えてもらったところじゃないかな…?カルマくんが、殺せんせーに無理矢理教えられて、納得いかないから私にも同じところまで教えてくれた…
…テストの範囲外の、単元…。


―――――
―――



私の違和感は気の所為じゃなくて、テストの範囲が大幅に変更されていたらしい。…大方、あの腹黒理事長の仕業だろうけど。
殺せんせーはすごく落ち込んでた。殺せんせー、悪くないのに。
でも…テストの範囲が変わっても困らなかったカルマくんと私。

業「結花、ちょっとテスト貸してね」
『え…あ、うん』

私の横からひょっこりと顔を出したカルマくんは、私のテストを誘拐していった。…そのテストを、殺せんせーに投げつける。

『…Σ』

殺せんせーを挑発したカルマくん。先生はリベンジだと燃える。…さっきまでお葬式みたいだったクラスの空気が、一気に明るくなった。

『ふふっ…』
業「何?殺せんせーが怒るの面白かったの?」
『ううん、違うの。カルマくん、優しいなーって思って』

…嬉しくなったの。最後まで言えなかったのは、カルマくんにキスされて口を塞がれたから。

業「…結花の国語100点だったから、帰りにケーキ食べてこっか」
『み、見たの!?』
業「なんでー?いいじゃん別にー」

…良い事でしょ?満点だったんだから。
そう言われると、何も言い返せない…。

『で、でも…他の教科はあんまり出来なかったし…!』
業「理科90点、社会95点…」
『Σ…まさか、全部見たの…?』
業「もちろん。…まだ続き言って欲しい?」
『い、行こう!ケーキ屋さん!!』

…ケーキ屋さんまで手を繋いで行ったら、殺せんせーに遭遇してしまった。
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