あんさつ。 | ナノ

9

奥「あ…あのっ先生……毒です!!飲んでください!!」

授業の終わりに、奥田さんが三つのフラスコを先生に差し出した。

先「……奥田さん…これはまた正直な暗殺ですねぇ」

…正直とかってレベルじゃないと思うんだけど…。毒ですって言われたら、普通は飲まないよ。いくら相手が殺せんせーだからって…。

先「それはそれは。ではいただきます」

飲んじゃったよ!!
   …にゅ。
あ、なんかツノ生えた…。
味で何が入ってるのか分かるの、すごいけど…。
   …バサッ。
2本目。今度は羽が生えてきた…。一体どんな体してるんだろう?

カ「…殺せんせー…どんな胃袋してるんだろ…」
『謎だねー。…あ、3本目飲んだ』

…真顔になった殺せんせー。真顔、薄いなぁ…。
一人で毒薬を作るのは危ないから、放課後殺せんせーと一緒に毒薬を作ることになった奥田さん。

カ「……暗殺対象と一緒に作る毒薬ねぇ」
渚「……後で成果を聞いてみよう」
業「…あの先生のことだから、絶対何か裏があるな」
『…うん』

カルマくん、意見が合うね。…あれ?これってみんな考えることかな?


―――――
――――



杉「なぁ時雨、赤羽と付き合ってるってマジ?」
『え?あ、うんうん』

放課後、帰ろうと鞄を持ち上げたところで、杉野くんが声を潜めて聞いてきた。

杉「マジ!?…人の恋をどうこう言うほどえらくないけどさ…あいつ、何するかわかんなくね?」
『えー…。そんな事無いと思うけど…。いい人だよ、カルマくん。この間もね、悪口言われてた渚くんを助けてくれたし…』
業「ねー、何の話してんの?」
杉「!」
『あ、カルマくん』
杉「じゃ、じゃあな、時雨!」
『?うん、バイバーイ』

少し汗をかいて慌てて教室を出て行った杉野くん。どうしたんだろう…?

業「…。結花ちゃん、何の話?」
『ん?カルマくんが、いい人だよって話』
業「…そっか。ありがと、結花ちゃん」

わしゃわしゃと頭を撫でられた。…髪、ぐちゃぐちゃ…。

業「帰ろっか」
『うん』

…夕日に照らされたカルマくんの横顔が嬉しそうだったのは、何でだろう…。
prev|next

[ text toptop ]