あんさつ。 | ナノ

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殺「暗殺教室!季節外れの自由研究テーマ!!宇宙ステーションをハイジャックして実験データを盗んでみよう!!」

…マジか。
殺せんせーの提案に、呆然とする。私の心の声を、杉野くんが呟いた。

殺せんせーを助けることに決めた私たちが次に取るべき行動は、“どうやって助けるか”を考えることだった。律のおかげで世界各国の研究のタイトルが分かり、アメリカで役立ちそうな研究をしていることが判明。宇宙で行われている研究のデータを見るために、近いうちに日本から打ち上げられる補給物資のロケットに乗るのはどうだろう、と。
…季節外れとか以前に…前代未聞すぎるよ、この自由研究。でもまあ、殺せんせーが監督しているから危険はないんだろうなとは思う。殺せんせー、ビビりだし。安全第一って感じだし。

杉「なあ、いいかげんカルマと仲直りしてやらねーの?最近あいつ機嫌悪いこと多いしさ」
『でもカルマくん、私のこと避けてるみたいだよ?私はもう少しお灸を据えるつもりだからいいんだけど…』

こそこそと話しかけてきた杉野くんは、カルマくんをチラチラと気にしながら困ったような顔をした。
…確かに触るのは禁止した。でも、話しかけないでとは言ってない。それなのに最近は私に近づこうとすらしないカルマくんを、少し不思議には思っていた。

杉「ああ、それならこの間言ってた。かなりイライラしてたからさ、話せば少しは気が紛れるんじゃねーの?って聞いたんだ。そしたら、話すと余計に触りたくなるからダメって」
『へーえ…』

カルマくんは律儀に言いつけを守るために努力までしているらしい。というか、接触しないとイライラするとか、私はタバコか。そんな中毒性はないと思うんだけどなー。

杉「へーえって…見てるこっちが同情しそうになるんだぜ。そろそろ許してやっても『でもこれ有希子ちゃんの案だよ?』…すごくいいお仕置きになってると思う」

…杉野くんの目に微かに狂気がにじんだ。私は時々、彼の将来が心配になる。
………うん。自由研究、がんばろう。

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