あんさつ。 | ナノ

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『二人とも大丈夫?あんなに殴り合ったりして…』
渚「僕は大丈夫。結花こそ、大丈夫?」

カルマくんと渚くんは、今回のことで前より仲が良くなったみたい。雨降って地固まる、というやつかな?
殺せんせーを助ける方法を探す、という方向に決まったあと私が二人に駆け寄ると、渚くんは笑い返してくれたけれどカルマくんは気まずそうに目線を逸らした。

『…カルマくん?舌を噛んでたけど、血は止まってる?』
業「……結花…ごめん、俺…」
『それはあと。今は怪我が心配なの』

カルマくんは、わざとではないにしても私を乱暴に扱ってしまったことをすごく気にしているらしい。べつに私はそのことについては怒っていないし、今は本当に怪我が心配だ。

業「…んー…そうだなー、まだちょっと痛いかなー。結花がキスしてくれたらソッコーで治りそ…「はい、ストップ」

カルマくんがいつもの悪戯顔で私に手を伸ばす。けれどその手は私に届くことはなく、おしとやかスマイルを浮かべる有希子ちゃんに掴まれた。

業「え……神崎さん…?」

にっこりと微笑む有希子ちゃんの手が、カルマくんの手をぎりぎりと締め付けているのが傍から見てもわかる。カルマくんは、有希子ちゃんの微笑みが黒いものであることに気づいて顔を引きつらせた。

『…カルマくん、元気そうで何より。でもごめんね、“キス”はしばらくお預けかな。………私に隠れて浅野くんに連れ去るように頼むなんて、ひどい。だから…カルマくん、今日からしばらく私に触るの禁止ね』
業「ちょ、ちょっと待ってよ結花!俺だっていろいろ悩んで…『どんな理由があったにしても、』

…私がずっと悩んでいたことに、カルマくんはきっと気づいてた。私をここから遠ざけようとしたのは、まだ答えの出せていない私が、自分の答えのために戦うクラスメイト達を見て苦しむのを避けようとしてくれていたのかもしれない。嫌っている浅野くんにわざわざそんなことを頼むのは、カルマくんもそれなりに悩んだのかもしれない。
それでも。

『…このクラスの、一番大事なことをみんなで決めようとしているときに、カルマくんは私を仲間はずれにしようとしたんだよ。どんな理由があったにしても、私だけ強引に連れ去ろうとするなんて、ひどいよ。私は、このクラスの一員だと思ってたのに…カルマくんにとって、私は仲間じゃなかったの?』

(((…修羅場だ…!!)))

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