あんさつ。 | ナノ

7

…朝…教室には微妙は空気が流れていた。原因は…教卓の上でナイフに一突きにされているタコ。犯人は勿論、カルマくん。
…あのタコ、どこで買ったんだろう…。
今時、タコを丸々一匹売ってるお店珍しいと思うんだけど…。っていうか、吸盤が気持ち悪い…。
…あ、殺せんせー来た。


先「おはようございます」


いつものように挨拶する殺せんせー。
でも皆は無言。異変に気付いた殺せんせーと、カルマくんのバトル開始。
…勝者、殺せんせー。
…私もタコ焼き食べたかったな…。


―――――
―――



今日1日、カルマくんはすごく頑張ってた。殺せんせーが黒板に字を書いている隙に攻撃してみたり、調理実習の時間に不意を衝こうとしたり、近くに来た時を狙ってナイフを刺そうとしたり…。
…でも結局全部失敗して、ネイルアートされて、可愛いエプロンと三角巾つけられて、真面目ちゃんヘアーにされてた。
…ちょっと羨ましかったのは内緒。ネイルアート…今度してもらおうかな…。
…そして放課後。
丘の上で考え事するカルマくんの所へ、私と渚くんは来ていた。
渚くんはカルマくんを説得しに来たみたいだけど、私は単にカルマくんが心配だったから。
何があったのか知らないけど、カルマくんは私と同じ匂いがする。
…私は…裏切られた。先生にも、友達にも。だから、簡単に他人を信じちゃいけないって知ったの…。


業「確認したいんだけど、殺せんせーって先生だよね?」
先「?はい」
業「先生ってさ、命をかけて生徒を守ってくれるひと?」
先「もちろん。先生ですから」


…カルマくん…何するつもりだろう…。


業「そっか。良かった。なら、殺せるよ」


銃を構えたカルマくん。
…そんな真っ向から向かって撃ったって、殺せんせーには敵わないことは今日1日で充分よく分かった筈なのに。
そう、思った。


業「確実に」


…カルマくんが後ろに倒れるまでは…。


『っ!カルマくんっ!!』


慌てて下を見下ろすと、銃をこちらに向けたまま落ちていくカルマくん。


『カルマくん!!…やだぁっ…!』


…渚くんはびっくりして声も出ないみたい。
…どうしよう。私には…何もできない…。落ちていくカルマくんを、黙って見ていることしか…。そんなの、いやだよ…。せっかく、仲良くなれたのに。昨日一緒に帰って、いい人だって分かって…。この人なら…って、思ったの…。
ふわりと、水滴が一雫、カルマくんの元へ落ちて行った…。その時、ザァ…っと私の横を何かがものすごいスピードで駆け抜けて行った。
一瞬で、落ちていくカルマくんの背後に現れた、巨大なクモの巣みたいなもの。
カルマくんは見事、その中に落ちた。

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