あんさつ。 | ナノ

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中村さんに続き寺坂くん達も反対の意を示した。
寺坂くん達は、「殺したくない」気持ちよりも「殺せんせーの望みを叶えたい」気持ちの方が強いのかもしれない。
…どっちが正しいのか、分からない。
自分の気持ちを殺すなというお姉さまの言葉が頭の中で何度も繰り返される。
どうすれば、いいのかな。
答えが出せないまま悩んでいる間に、渚くんとカルマくんが口論を始めてしまった。

『か、カルマくん…そんな言い方は…っ』
業「うるさいな、黙ってなよ」

…頭に血が上ってて…周りが見えてないのかな。でも少し…カルマくんにそんな言い方をされると、つらい。
でも今は、喧嘩を止めないと。
渚くんの胸ぐらを掴んだカルマくん。渚くんは飛び付いて絞め技をかけるけれど、カルマくんは上体を起こして渚くんを殴ろうとする。

『二人とも、ダメだよ!』
業「邪魔。」
『っう、』

咄嗟にカルマくんの腕を掴んだものの、ただでさえ力の強いカルマくんに敵うはずもなく、簡単に振り払われてしまった。
腕を掴んだのが私だと気付いていなかったのか、加減をする余裕がなかったのか、カルマくんに突き飛ばされた私は近くの木に体を叩きつけられてしまう。背中を強打したことで息が詰まった私は短い呻き声をあげてその場に崩れ落ちた。
渚くんと腕相撲したときは勝ったんだけどな…。
意識が飛ぶ寸前、思ったのはそんなことだった。
…私が覚えているのは、ここまで。

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