あんさつ。 | ナノ

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ビ「散々悩みなさいガキ共。あんた達の中の…一番大切な気持ちを殺さないために」

学校が始まってもまだ悩んでいる私たちを見て、お姉さまはそう言った。
そして放課後、渚くんが皆に集まって欲しいと告げ、私たちは裏山に向かう。

『…カルマくん、メール?』
業「うん。…あ、浮気とかじゃないよ?」
『?…うん』

かなりのスピードで画面をタップしていたカルマくんは、メールを送信し終えたようでスマホを自分のポケットに滑り込ませニコッと笑う。

…うーん…別に浮気とか疑ってないんだけど…なんか、怪しい…?
笑みが、ぎこちないような…。
モヤモヤと考えながらも裏山に向かうと、既にみんな集まっていた。
そこで渚くんが皆にした提案。それは、「殺せんせーを助ける方法を探したい」ということだった。
一瞬その場に驚きの沈黙が流れたものの、陽菜乃ちゃんやメグちゃんが同意を示し、渚くんがホッとしたように笑みを浮かべる。他にも賛成を告げる人や微笑む人たちがいて、渚くんの提案は通ったように見えた。
…でも、いいのかな…。殺せんせーの意思はどうなっちゃうの?今まで私たちがしてきたことは?全てを否定してしまうことにはならない?この教室の存在意義…それはきっと暗殺でしか成り立たない。
…でも、私たちを救ってくれた殺せんせーを、本当に殺せる…?たくさん、楽しい思い出を作った。何度も助けてもらった。恩は数えきれないくらいあるけれど、怨みなんて一つも無い。そんな相手を殺せる…?

中「こんな空気の中言うのはなんだけど…私は反対」

私が未だに決断を下せずにいると、中村さんがしっかりした声と目でそう言った。

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