あんさつ。 | ナノ

132

殺せんせーが自分の過去を話してくれた。
教師になった理由、雪村先生との関係、自分の経歴、超生物になった経緯…。
私たちは、考えてしまった。
…“殺す”という言葉の意味を。


―――――
―――



『…本当に、殺せると思う…?あのクラスの中の誰かが…本当に…』
業「…」
『…今まで、本気で殺そうと思ってる人なんていた?律や触手を持ってた二人は違うかもしれないけど…人の形をしていない先生と、オモチャみたいな武器をもって……本気で1つの命を背負う覚悟の人なんて、あのクラスにいた?……殺せんせーは、私たちを救ってくれた先生なのに、』
業「……だからこそ、俺等の手で終わらせなきゃ…いけないんじゃない?それがあのタコの望みなんだからさ」
『……そう…だね、』

…冬休み。
暗殺の連絡は私にもカルマくんにも来ていない。
多分、クラスの誰もが暗殺しようなんて思ってない。
私とカルマくんは休み中、ほぼ毎日お互いの家を行き来していたし、お買い物に出かけたりもした。
有希子ちゃんからは、カエデちゃんの様子を教えてもらうのと同時に意味深なメールが届いた。首を傾げていたらカエデちゃん本人から恋愛相談のメールが来て、隣にいたカルマくんと笑い合った。
…でも、暗殺のことも、殺せんせーのことも、会話には一度も出てこなかった。
私もカルマくんも、殺せんせーの話をしたのは一度だけ。
ああ言ったものの、私の中の答えは出ないまま、冬休みは最終日を迎えていた。
…明日から、三学期。

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