あんさつ。 | ナノ

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殺せんせーは、カエデちゃんの気を逸らせと言ったけど…あんな状態のカエデちゃんの意識を、殺せんせーから外す方法なんてあるのかな…。

吉「……三村、エアギターやれ。テメーの超絶技を見せてやれや」

わりと真剣な表情で言う吉田くん。三村くんはギョッとしているけれど、吉田くんは真面目に提案したんだと思う。…真剣に考えて思いついたアイデアが三村くんのエアギターだった、吉田くんの頭に問題があると思う…。

『なにか…できないのかな。ずっと一緒にいたのに、私…カエデちゃんのこと何も知らない…』
業「きっとクラス全員が同じだよ。茅野ちゃんは自分のことを悟らせないように、皆と距離を置いてた。目立たないように、うまく溶け込んでた」

   ズドンッ

『殺せんせー!!』

カエデちゃんが殺せんせーの胸の中心部に触手を打ち込む。
すぐに殺せんせーはカエデちゃんを拘束したけど、そのダメージはきっと大きい。
そして、このタイミングでカエデちゃんの意識を逸らすことに失敗すれば、きっと二人とも死んでしまう…!

杉「渚……」
業「渚君…」

睨みつけるカエデちゃんを静かに見つめ佇んでいた渚くんは、瞬時にその間合いを詰めた。

「「『!!』」」

みんなが声も出せずに驚く中、渚くんのキスにお姉さまがニヤリと笑い、カルマくんと中村さんは素早くスマホを構える。…二人とも何してるの…。
一方の渚くんは完全に暗殺者の目でカエデちゃんの頭を押さえ、カエデちゃんが気絶するまでキスを続けた。
…そのあと散々カルマくんと中村さんにからかわれていたけど。

業「な〜んか羨ましいね〜、結花?」
『……何のことでしょう?』

流石にこの場でキスされた挙句、気絶までさせられたら私だって怒ります。一週間、指一本触らせてあげません。
…私の念が伝わったのか、カルマくんは拗ねたような顔をして諦めてくれました。

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