あんさつ。 | ナノ

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殺「先生の…過去の全てを話します。ですがその前に、茅野さんはE組の大事な生徒です。話すのは…クラス皆が揃ってからです」

…殺せんせーに送られてきたメールの指定場所には、マフラーを首に巻いて露出の多いワンピースを着たカエデちゃんの姿が。

『…っ、』

誰の声も、カエデちゃんの耳には届いていなかった。
竹林くんの疑問も、陽菜乃ちゃんの説得も、カルマくんやイトナくんの忠告も。
…とても…カエデちゃんは強かった。
赤い炎を纏った黒い触手が、今まで見たどの暗殺よりも殺せんせーを追い詰めている。
…でも。

イ「……あそこまで侵蝕されたら、もう手遅れだ。復讐を遂げようが遂げまいが、戦い終わった数分後には死ぬと思う」
『そんな!…カエデちゃん!!』

…本当は止めるべきではないのかも知れない。このクラスで唯一、カエデちゃんには殺せんせーへの明確な殺意があった。ずっと隠して、機会を窺ってきた。そんな彼女の努力を、無駄にするべきではないのかもしれない。
…でも…それで殺されても、殺せんせーはきっと納得しない。私たちも、納得できない。だって、私たちは、クラス全員で笑顔で卒業したいから。
誰かが欠けるなんて、嫌だ。

殺「手伝ってください!」

宙に顔だけ現れた殺せんせーが、必死な顔でそう言った。

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