あんさつ。 | ナノ

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理事長が殺せんせーに持ちかけたのは、殺せんせーのクビとこの校舎の取り壊しを賭けたギャンブル。
…私は段々、“暗殺”という言葉の意味が分からなくなってきた…。暗殺って、もっとこう…静かにスマートにやるものじゃなかったっけ…?
ま、いっか。
理事長が用意したのは5つの手榴弾と、5教科それぞれの同じ出版社の問題集を一冊ずつ。栓を抜いた手榴弾を問題集に挟み、手榴弾が爆発する前にページの問題を解かなければいけないらしい。
確かに殺せんせーはテンパると反応も思考も遅くなるけど…こんな方法で殺せるなら、私たちはとっくに殺せんせーを殺せてる。

『…大丈夫。こんなんじゃきっと、殺せんせーは殺せない』
業「ッ結花伏せて!!」

   バァンッ
開いた窓の下にいた私は、カルマくんに押さえつけられるようにして伏せる。

業「…案外、うまくいくかもね…この暗殺」

再び窓から中を覗いたカルマくんは、少し眉間に皺を寄せてそう言った。
殺せんせーは、対先生手榴弾を喰らって顔も触手もドロドロになっている。
理事長はニヤリと笑って「次の問題を」と促した。…けれど。
殺せんせーが次に開いた社会の問題集は、一瞬でワークの上に答えの書かれた紙が表れた。
くるり、とペンを回す殺せんせー。
数学の問題をすぐに解けなかったのは、その問題集を暫く桃花ちゃんに貸していたせいらしい。
ぱしっぱしっと残りの問題集もテンポよく解いていき、最後の一冊…英語のワークだけが、理事長の前に…。

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