あんさつ。 | ナノ

5

小テスト中。
…普通なら、文字を書くカリカリという音が教室中に響く…筈なんだけど…。
   ブニョンッブニョンッ
…何故か、変な音が教室を満たしていた。
殺せんせーの壁パンらしい。さっきカルマくんにおちょくられたの、相当ムカついたのね…。

…カルマくんのことは、渚くんから聞いた。連続で暴力沙汰になって、停学になってたって。


『暴力…』
カ「結花?どうかした?」
『ううん。何でもない』
カ「ってかさ、もうテスト終わったの?」
『え?…うん。だって、簡単でしょ?』
カ「…私まだ半分くらいしか…。…結花ってさ、勉強できるよね」
『え、そう?』
カ「うんうん。で、体育もできるよね」
『普通だと思うけど…』
カ「特にE組に落とされる要素無いんだけど。なんでここに?」
『えっと、それは…』
先「こらそこ!!テスト中に大きな音立てない!!」
『!』
業「ごめんごめん、殺せんせー。俺もう終わったからさ、ジェラート食って静かにしてるわ」


…びっくりした…。私が怒られたのかと…。
アイス…いーなー。でも何処から持ってきたんだろう…。


先「そっそれは昨日先生がイタリア行って買ったやつ!!」


…殺せんせーのだったんだ。
イタリア…本場のジェラート…。
いいなぁ…私も食べたい…。カルマくん、頼んだらくれるかな?


『カルマくん、』
業「ん?」
『一口ちょうだい♪』
業「あ、コレ?いいよ。あげる」


本体が差し出され、受け取った。
…床にBB弾がばら撒いてあったけど、気にしない!ジェラートが先!!


先「カルマくん、結花さん、ジェラートは先生のものです。結花さん、テスト中ですよ?席に戻りなさい」
『でも…もうテスト終わったし…ジェラート食べたかったし…』


ずんずんと近づいてくる殺せんせー。
そのままこっちに来たらBB弾踏んじゃうなぁ…とか思いつつ、ジェラートをパクリ。あ、美味しい。
   バチュッ…ドロォ


業「あっはー!まァーた引っかかった」


   パンパンパン
カルマくん…頑張ってるなぁ…。
私は席に戻って、ジェラートを食べていた。


『カエデちゃん、食べる?』
カ「…ううん……要らない…」


…あれ?苦笑いしてる。美味しいのに…。


業「ねぇきみ…名前は?」
カ「………結花、呼ばれてる」
『…え!?』
業「…結花ちゃん?テスト終わってるんでしょ?一緒に帰ろーよ」
『え…と、私は…その…』
業「ほら、行こー」
『で、でも…』
業「ホラ、早くー。ハイ、これ結花ちゃんのね」


カルマくんはいつの間にか私のカバンを持ち、テストを殺せんせーに渡していた。


『ま、待って…』


…こうして、半ば強制的に、私はカルマくんと一緒に帰ることになった。
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