あんさつ。 | ナノ

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『うわぁ…お笑い芸人とかアイドルとか…テレビで見たことある人がいっぱいいるよ』
神「さすが浅野くん、ってとこかな?」

…有希子ちゃんと二人、私はA組のイベントカフェに来ていた。
本当はあまり気が進まなかったんだけど…
――いい機会です。偵察しているイトナ君のカメラにも限界がある。ここもそれほど混んでいませんし、せっかくですから今のうちに見て来てください――
…って殺せんせーが言うから、仕方なく…。
ここに入るのに見せた招待券…受付の人は「あ!!」っていう顔をしたあと笑顔で(それはもう、周りにお花が舞いそうなほどの)通してくれたけど、気まずかったなーあの時。

神「あ、五英傑のバンド演奏だって」

時計とプログラムを見比べていた有希子ちゃんが言った通り、丁度これからバンド演奏が始まるらしく、エレキギターを持った浅野くんが出てきた。
…なるほど。やけに女子の割合が高いと思っていたら、こういうことか…。
二、三曲ほど終わると、本格的にバンド演奏が始まるようで、ドラムやらベースやらを持った残りの五英傑が出てきた。しかも演奏のクオリティが高い。
そして演奏終了後すぐに帰ろうと思っていたら、浅野くんに気付かれていたらしく「待って結花さん!」とマイク越しに呼ばれ、公開処刑。
楽器を片付けて出てきた浅野くんたちに捕まり、そのまま数時間は解放してくれなかった。

浅「来てくれて嬉しいよ、結花さん。僕の演奏はどうだった?希望があれば何だって弾くよ」
『え、あぁうん…かっこよかったよ、浅野くん。でも私はバイオリンとかフルートの方が………って、榊原くん、有希子ちゃんをナンパしないで!!』


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