あんさつ。 | ナノ

110

   ドウン
…低く重く、それでいて大きく響く音がした。モニターには何かが爆発したような映像が映る。
殺せんせーが急いで安否を確認すると、イリーナ先生が瓦礫の下敷きになったと烏間先生から返事が来た。

『っ!!』
「「「!!」」」

置いて行く意を示す烏間先生に「ダメ!!」と叫んだのは、私ではなく陽菜乃ちゃんだった。自分たちは大丈夫だからイリーナ先生を助けてあげて、と。
それでも躊躇う烏間先生に、磯貝くんは死神が戻ってくると告げる。
それは、私たちの小さな反撃を成功させるという決意でもあった。


―――――
―――



まずは、首の爆弾の解析。造りが簡単だから外してもバレないし起爆もしないと、イトナ君は言った。そしてその言葉通り、バキリと音を立てて外した首輪に変化はない。
そして手錠。カメラに映らないように殺せんせーに外してもらい、また手を背中に回して縛られているふりをする。
岡島くん曰く、監視カメラは死角がない代わりに正確に見えない場所が出来てしまう魚眼、らしい。
…よく分かんないけど…イメージとしては真四角じゃない世界地図と同じであってるかな…。
あとは、体育着の背中の方を菅谷くんに壁と同じ色にしてもらって…

業「結花、おいでってば」
『う…でも、重いし…』
業「そんなの気にしないし。ってゆーか、他の奴と密着なんてしたら許さないよ?」
『ううぅ…』

肩車三段構えで壁に張り付くらしい。
悠長なことを言ってる場合ではないのはよく分かってるけど…好きな人に全体重をかけるのは抵抗があるのが女子というもの。
…まあ、いつものブラックスマイルには勝てないんだけどね。

『でも三段だから、私の上にもう一人乗るし…』
業「え、何言ってんの。寺坂を一番下にするに決まってんじゃん」
寺「………」
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