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中間テスト。
流石に二週間も授業も勉強もせずに、この進学校の超難問を解くのは限界がある。
それは皆も同じだったみたいで、歩いている道の先に、ため息を吐きながらトボトボと歩いている渚くん達を見つけた。…その途中。
A組の五英傑に渚くん達は出くわしてしまい、散々言われても言い返せずに言葉を詰まらせている。少し遠くにいたのだけれど、だんだん腹が立ってきた私は五人を追い払おうと足を速める。
業「(いーよ、結花、俺が追い払うから)」
隣を歩いていたカルマくんが私の肩に手を置き、小声で囁く。
そしてその言葉通り、榊原くんの揚げ足を取り、今回のE組の成績は手加減しただけと言ってフォローしてくれた。期末テストで決着つけようって。
…そのまま歩いていくカルマくんの背中が、何だかすごく頼もしく見える。
浅「…結花さん、」
『………浅野くん、私たちも決着、つけよう?』
カルマくんの背中を見つめたまま、私はそう言った。
浅「…!」
『次の期末テスト、トップを取った方が相手に一つ、命令できる。…どう?』
…このままじゃ、いけないと思った。
カルマくんは、すごく成長した。E組の皆もそう。殺せんせーが来る前と後では、全然違う。
…私も、変わらなきゃと思った。
もう、過去の悲しみに浸って、カルマくんに護られたまま、浅野くんに怯える自分とさよならしたい。
これからも、カルマくんの隣にいられるように…成長したカルマくんの隣にいても、恥ずかしくないように。
浅「…いいだろう。君達、今の言葉、聞いたよね?君たちが証人だ」
『…これで私たちは、どちらが負けても逃げられない』
浅「…僕の望みはただ一つだよ、結花さん。…じゃ、僕たちはこれで」
…頑張らなきゃ。
去っていく浅野くんの背中を見ながら、深呼吸する。
そして踵を返し、私を心配そうに見つめるカルマくんに駆け寄った。
『カルマくん、さっきはありがとう!とっても格好良かったよ♪』
抱きつき、頬にキスをすると、カルマくんは一瞬固まり目を見開いたあと、何故かすごい勢いで顔を逸らしてしまう。
業「…結花、それ反則…」
『…?』
首を傾げて覗き込むと、カルマくんは私と繋いでいない方の手で口元を隠し、何かを堪えているみたいだった。
渚(…僕たち、いつまで空気なんだろ…)
岡(俺、何かもう泣きそう)
杉(う、羨ましい…)