あんさつ。 | ナノ

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街中でフリーランニングをして、おじいさんに怪我をさせてしまった、らしい。
殺せんせーがペトッとビンタ(?)をした後、教えてくれた。
そして…そのおじいさんの経営している保育施設で二週間、働くことに。
とりあえず、子供に勉強を教えることになったんだけど…。

子「ねー、なんでそーなるのー?」
『え、えぇっと…』

勉強を教えたことは、たくさんある。…ただし、同年代に限る。
まだ幼い子供に、どうすれば理解してもらえるんだろう…。

子「ねぇ〜、はやく教えてよー」
『ちょ、ちょっと待ってね…』

私が小学生の教科書と睨めっこしている間に、男の子(名前なんだっけ)は私の背中に乗って遊んでいる。(重い。)

業「結花ー♪何してんの?」
『あ、カルマくんっ!』

救世主、登場。
訳を話して、カルマくんにも考えてもらおうとした、んだけど…。

業「…ふーん……君、本当は解けるよね」
『へっ?』

男の子が今まで解いていた問題集と、私が睨めっこしていた教科書を交互に見比べたあと、カルマくんは私の背中に乗っている男の子を見据え、そう言った。

業「今までの問題は全問正解。難しい応用問題もちゃんと解いてる。しかも、類似問題も完璧。…ここだけ解けないなんてありえないんだけど?」

…心なしか、男の子を見るカルマくんの視線が冷たい気がする。

『か、カルマくん…いくら何でもそんなことは…』
業「ねえ結花、その子が分かんないって言い出した時、結花は他の子の所に行こうとしてたんじゃない?」
『えっ…あ、うん。そう、そうだった』

この子は自力でも解けそうだからと、私は他の子を教えに行こうとしていた。

業「…結花に、構って欲しかったんでしょ?…でもね、結花は俺のものなの」

肩を引き寄せられ、勝ち誇ったようなカルマくんの声がすぐ耳元でする。
…子供相手に…何と大人げない。
一方の男の子はというと、少し拗ねたような表情をして、カルマくんを睨んでいる。

子「…だって、お姉ちゃん可愛いんだもん」

   ちゅ。

『………Σ!?』
業「…あのガキ…」

少し間を置いてそれだけ言うと、男の子はカルマくんの腕の中に納まっている私の頬に軽いキスをして駆けて行ってしまった。
残されたのは、ポカンとする私と青筋を立てるカルマくんだけ。
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