あんさつ。 | ナノ

94

ふらふらの状態で、それでもまだ携帯ショップの破壊を続けるイトナ君。
めちゃくちゃになった店内で、イトナ君が殺せんせーの前で動きを止めた、その時…
   ボフッ
…視界が真っ白になった。

『ゲホッ…何、これっ…』

息をする度に、気管に何かが入ってきてむせる。
どこかでイトナ君の呻く声が聞こえた。
これは、きっと…対先生弾の粉タイプだ。
続いて聞こえてきたのは、銃声。きっと、イトナ君か殺せんせーを狙ってる。
…やっぱりカルマくんの言っていた通り、シロはイトナ君を囮に…っ!
視界が晴れてきた頃、イトナ君が引きずられ連れ去られていくのが見えた。
殺せんせーは私たちの無事を確認したあと、急いで後を追う。
取り残された私たちの中で、シロへの怒りが高まっていった。


―――――
―――



私達がその場に着いた時、殺せんせーはイトナ君を守りながら必死に銃弾を避けていた。銃で撃っている大人たちも、殺せんせーの方に集中していて私たちには気付かない。
なので、まずは邪魔な周りの大人たちを片付けることにした。
数人が木へ上り、他の人たちは下に落ちてきた大人を、殺し屋の人たちと同じ要領で動きを封じていく。
…私は(いつものことだけど)カルマくんにブラックスマイルで「結花は下にいてね」と言われ、有希子ちゃんたちと一緒にスタンバイ。
私、そんなに危なっかしいかな…。別に、木登りしたかったわけじゃないけどさ…いつも言われてると、だんだん落ち込んでくる…。
…それはさておき。
全ての手を封じられ、去って行ったシロ。
残されたイトナ君は意識を失い、私たちは律が送ってくれた資料から、彼のこれまでの経緯が見えてきた。
prev|next

[ text toptop ]