あんさつ。 | ナノ

93

口を尖らせて拗ねる殺せんせー。
デフォルメのような、大きなたんこぶを頭に作った鶴田さん。
でも、一番心配なのはシロに見放されて、今もまだ見つからないイトナ君だ。
…そんな中、携帯ショップが破壊される事件が多発しているというニュースが、テレビ(律の画面)で流れていた。リポーターのおばさんの後ろには、めちゃくちゃになった携帯ショップが映っている。
殺せんせー曰く、「この破壊は触手でなくてはまず出来ない」らしい。
そして、「担任として責任を持って彼を止めます」とも言った殺せんせーに、皆は不満そうな顔をする。…まあ、当然だよね。今まで色々な目に遭わされてきたし。
でも…。

『…私も行きます、殺せんせー』
「「「!?」」」
業「なっ…結花!?」

…イトナ君は、強さに執着しているみたいだった。殺せんせーも言うように、あの触手は普通の人間が使うのは危険で、あの夜のイトナ君を見ていれば、それがよく分かった。…それでも、そんな力を手に入れてでも、イトナ君が強さにこだわった理由。きっと、それなりのものがあったんだと思う。
政府の…シロの駒にされてまで“力”を手に入れたかった理由が。
それに。

『…律も、最初は皆が迷惑してたでしょ?でも、今はクラスの仲間として、輪の中にいる。だからきっと、イトナ君とも仲よくなれると思うの。殺せんせーが、そうしてくれる。…ですよね、殺せんせー?』
殺「!…はい。もちろんです」

私を見て驚いた顔をした殺せんせーは、いつものように笑って、頷いてくれた。

業「…しょーがないな〜。言っとくけど、俺は結花が心配なだけだからね。それと…シロはきっと、またイトナを利用して何かしてくるよ。また危険な目に遭うかもしれない。…それでも行くの?」
『!…うん、行く。放ってはおけないよ』
業「結花ならそう言うと思った。ま、何かあっても、結花は俺が護るしね」
神「じゃあ、私も行く」
カ「私も〜」
渚「僕も行くよ」

俺も、私も…と、皆が次々に立ち上がっていく。

『!!』
業「それじゃ、行こっか」

差し出されたカルマくんの手。

『…うん!』

私はそれをしっかりと握った。
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