あんさつ。 | ナノ

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今日の新聞に、下着ドロの記事が載っていた。
しかも、目撃者による犯人の特徴は、殺せんせーを思わせるようなものばかり。
…おかげで朝から、殺せんせーを見る皆の目はまるで汚物に向けるそれだった。
せっかく恰好よく殺せんせーを庇った磯貝くんも、結局諦めてしまう。
潔白を示すために殺せんせー自らが出した持ち物の中からは、盗まれたものと思われるブラの数々が。
…クラス皆の、殺せんせーに対する視線が、完全に冷たいものになってしまった。
放課後。

業「あっはは。今日一日針のムシロだったね〜。居づらくなって逃げ出すんじゃね?」
『いやいや、笑いごとじゃないよ、カルマくん…』
渚「でも、殺せんせー本当に犯ったのかな。こんなシャレにならない犯罪を」
業「地球爆破と比べたら可愛いもんでしょ」
渚「『…そりゃ、まあ』」

やっぱりケラケラと笑うカルマくんの言葉に、私と渚くんはおずおずと頷く。
…冗談はさておき。

業「こんな事してたら…俺等の中で先生として死ぬこと位、わかってんだろ。あの教師バカの怪物にしたら、E組の信用を失う事するなんて…暗殺されんのと同じ位避けたいことだと思うけどね」
渚「…うん。僕もそう思う」

…カルマくんはきっと、このクラスの誰よりも、殺せんせーのことを信頼していると思う。自分の命まで賭けて、確かめたことだから。
それに、本当は皆も、きっと心の中では分かってる。
超生物だけど、月を爆破したけど、エロ本大好きだけど…私たちの先生としては、完璧だから。

『…殺せんせーの特徴を真似してるってことは、殺せんせーの存在を知ってるニセ者がいるってことだよね』
業「多分ね。…いずれにせよ、こういう噂が広まることで…賞金首がこの街に居れなくなっちゃったら元も子もない。俺らの手で真犯人ボコッてタコに貸し作ろーじゃん?」

近くにいた寺坂くんの制服を引っ張り、その肩にのしかかるカルマくん。
ニセ殺せんせーに燃える不破さん。
鬼のような形相をしているカエデちゃん。
…夜に集まる約束をして、私たちは一度家に帰った。
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