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捕まっている人達は、牢屋の中で数学の問題集を解いている。そして、私たちがこうしている間にも次々と他の人が捕まって、牢屋に入ってくる…。
と、岡島くんが不思議なポーズで差し出した何かをそっと自分の胸ポケットに仕舞い込んだ悪徳警官は、こっちに背を向けて「来い」という合図を出した。
『…警官が…買収された…さすが岡島くん…』
渚・杉「「………」」
呆れたけれど、ちゃんと皆は助けました。
殺「ちなみに烏間先生は…君達の残した痕跡を追跡しているはずです。足跡や植物の乱れに注意して逃げるといいでしょう」
岡島くんからもらったモノに目を向けたまま、悪徳警官はそんなアドバイスをくれた。
そして…。
ひなたちゃん、メグちゃん、木村くん、前原くんを呼んで、私たちはある“作戦”を立てる。こうして逃げていても、残り1分で殺せんせーが動けば間違いなく私たちは全滅してしまうからだ。だから、“殺せんせー対策”の作戦というわけ。
杉「頼んだぜ、4人とも!」
打ち合わせを終え、私たちは4人と別れて目的地へ向かう…。
業「結花はここにいてね。茅野ちゃんも泳げないから、一緒にいるでしょ」
く・れ・ぐ・れ・も!俺たちと一緒に潜ろうなんて思わないでね。
…ブラックスマイル全開で私にそう言い聞かせたカルマくん。
何かもう…烏間先生よりもカルマくんの方が怖い気がする…。
律「残り1分30秒〜」
律がスマホからそう告げたのを合図に、カルマくん達はTシャツを脱いで対殺せんせーナイフを握る。
『がんばって、カルマくん』
業「勝ったら何かご褒美ちょうだいね♪」
『え、ちょ、カルマくん!?』
悪戯っぽく笑ったカルマくんの言葉に驚いて聞き返そうとするも、ドボンっと飛び込んだその水音に私の声はかき消され。
水底で構えるカルマくんの、悪戯を企むような不敵な笑みにドキッとしたのはここだけの秘密。
…予定通り、クラスの中で特に運動神経の良い4人に烏間先生をおびき出してもらい、カルマくん達は1分間水中で殺せんせーを待ち構えていた。
烏間先生が来ない限り、水中にいる3人は殺せんせーでは逮捕できない。
律「タイムアップ!!全員逮捕ならず!泥棒側の勝ち!!」
ピピーッと律がゲームの終わりを告げ、皆は「ケーキだ!」とはしゃぐ。
業「結花♪」
『カルマくん、お疲れ様!…それで私は、一体何をすれば…?』
業「うん、ちゃんと考えてたよ」
嬉しそうに笑うカルマくんに、私は何となく嫌な予感がした。
業「キスして、結花」
『ここで?』
業「うん」
『…//』
予感、的中です…。