平和島静雄→折原臨也/来神/企画「はつ恋」様提出



「今日も元気にこんにちは。ラジオ来神始まるよー。今週の担当の奈倉です、よろしくね」

あ、この声。
すっかり眠っていた頭に玲瓏とした声が響き覚醒する。
欠伸をして目をこすり伸びをしてやっとすっきりした。
最後にもう一度軽い欠伸をすると呆れた顔で新羅がこちらを見ていることに気づく。

「んだよ」
「なんでも?ただ静雄も人の子なんだなってさ」
「悪かったな」
「いやそれに関しては全く謝ってもらわなくていいんだけど、僕がお昼だって起こしてあげてるのには全然反応ない割にラジオの声に一発で起きたって言うのには少し罪悪感を持って謝って欲しいところだよね」

全然なんでもなくないじゃねえか。
これだからコイツは面倒だ。
なんだかんだでかなり根に持ちやがるし。
ため息を押し殺し、黙々と昼飯をだして机の上に広げる。
ちょっと静雄僕の話聞いてる?とかほざく声は無視。
今の俺はラジオ聞いて飯食うのに忙しいんだっつの。
俺の態度に話すことを諦めたのか新羅はわざとらしくため息をついて向かいに椅子を引っ張ってきて座った。
全く、嫌なヤツじゃないが嫌みなヤツだ。

「ねぇ静雄、君は随分このお昼のラジオにご執心のようだけどそんなに面白いこと取り上げてるかい?」
「は?別に内容はどうだっていいだろ、つか黙ってろ」

うるさくって声が聞こえねえ。
顔をしかめてさっさと食べ終わった昼飯のゴミを丸めて机に顔を伏せた。
耳は流れてくる心地よい声だけを上手く拾い、教室の喧騒はだんだん遠ざかっていく。
不思議なもんだ。
特にでかいとか高いとか低いとか変な特徴があるとかそういう声なわけじゃねえ。
なのによく聞こえる。
心に溶け込んでくるっつーか青空みてえな声っつーか。
……うっわ、随分恥ずかしいこと考えてねえか俺。
余計なこと考えてたらあっという間にラジオ終わっちまったし。

「じゃあさ、静雄はあのラジオやってる人の声が好きなの?」
「はあ?」
「だって内容がどうでもいいならそれくらいしか理由がないことは明々白々、火を見るより明らかじゃないか。違うかい?」
「いや…まあ間違っちゃいないが」

間違っちゃいないが、よ。
ったく本当に面倒なヤツだ。
でも…新羅ならなんかしってそうだよな、この声の主について。
絶対に暴きたいとかそういうわけじゃないがそりゃあ人間だから気になるものは気になる。

「新羅は知ってっか?」
「ん?」
「話してるやつが誰だか」
「さあ。放送委員が持ち回りでやってるらしいから放送委員の誰か、ってことには違いないんだろうけど」
「そうか」

わからなくてがっかりしたようなこれでよかったような。
少なくとも俺の知らないやつではあるか。
こんな声を持ってるのはどんな人間なんだろうな。
性格や見た目どころか中性的で一人称も私だから性別すらわからない。
でも、確かに俺は、この、

澄んだ声に、恋をした。






第1段。
なんだかもっと短くするつもりだったのにどういうことだろう…。
しかも独白にしたかったのに…。
なんだか全体的に微妙(´・ω・`)
なれないことはするもんじゃないなあ。

2011.01.03



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -