「好きなんだけどォ」

自転車競技部ロッカールーム。
今日のメニューもこなし終わってクッタクタんなった身体をどうにか動かしながら着替えを終わらせ、気付いたら声に出ちまってた。
突然の告白に目の前の女は目を丸くさせ、周りのヤツらもア然としている。
福ちゃん、口開いてっから閉じようぜ。

「オレと付き合ってよ千歳チャン」
「ありがと、でも今はそういうのいいかなぁ」

いつものようにニッコリ笑って慣れたように断りをいれると千歳は畳み終わったタオルを抱えて部室を後にした。
そういえば先週もサッカー部のヤツに呼び出されたとか誰かが噂してたっけか。勢いで付き合えなんて言ってはみたが、予想通りの返答だ。
まぁそうだよなァ、オレだってこんなとこで急にんなコト言われても良い返事返すわけねェし。

「靖友、千歳ちゃんのこと好きだったのか...」
「あー...そうみたいだネ」

なんで急にあんな言葉が出てきたのか自分でも疑問だったが新開の一言で自覚する。
そうか、オレは千歳のことが好きだったのか。

「何をそんな人ごとみたいに...
 フラれたことがショックだったのか?
 案外繊細なのだな」
「ッゼ」
「うざくはないな!?」
「荒北、俺は...応援するぞ!」
「おー、福チャンあんがとネェ」

恋心の確信と同時に訪れた失恋に特に絶望するでもなく、むしろ逆に燃えてくる。
同情の視線が刺さる、
ンなもんオレに向けんじゃねーよ。

諦めるまで終わらねぇ、じゃあ終わらせねぇっつーの。
オレァ今、走り出したばかりだ。



一日一荒北 1
first day / 2017.06.11

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