「ハァッ...ハァッ...ハッ...」

2時間のタイマーが鳴って、やっとローラーから降りた。あークソッ、無駄に回したせいで足ガクガクじゃねーか、この後箱根峠行くっつーのにどうすんのコレェ。
フラフラと覚束ない足でどうにかロッカーまでたどり着いて、オレはそのままずるずると地面にへたり込む。滴る汗が腿に落ちて、レーパンの中に染み込んでった。
平らな股間を見下ろしてオレは心の中で息子に問う。
いい感じの疲労感でもう変に反応出来ねェだろ、
なぁオイ?

「先に言った通り、10時半から箱根峠へ出発する
 準備をして10時25分には正門前に集合だ!
 それまで各自休憩!」

へばってオレは声も出ねぇっつーのに、ローラー横で仁王立ちする福チャンは部室内に響き渡るような声でそう言った。
ったくタフだねェ、福チャンは。汗だくなのに表情ひとつ変えやしねぇ、この鉄仮面がァ。
こちとら息も絶え絶えだヨ、まぁ自業自得って言われりゃそうなんだけどォ。
30分弱の貴重なインターバルを何に使うか、とりあえずロッカーからタオル引っ張りだして首にかけて汗を拭った。十分補給しながら回してたつもりなのに、何か喉の奥が乾いてる気がする。
...ベプシでも買いに行くかァ。
部室を出てすぐの自販機には目当てのモンはねぇし、用具室のほうの自販機まで行かなきゃなんねぇのはだりィがしゃーねェ。
重い身体をのろのろ動かしながら、オレは部室に背を向ける。回し過ぎて疲れたオレの体が今欲してんのは、あの甘ったるい炭酸だけだ。



荒北靖友の劣情 4
clubroom / 2017.05.02 / 11.12加筆修正

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