部室までの道のりを全力でペダル回してかっ飛ばす。
最後の坂を登り切って地面に足をつくと、部室ン中から誰かがローラーを回してる音がした。
やっべ遅刻したかもしんねェ...
挨拶と同時に部室の扉開けて正面の壁掛け時計を見上げると、時刻は朝練が始まる1分前だった。

「お早う荒北、今日はいつもよりちょっと遅いな?」
「チッ、間に合ってんだからいンだよ!」

部室の扉開けて初めに東堂と目が合うたぁツイてねぇ。
ひとまずギリ間に合ったことに安堵しつつロッカー目指して進んでいくと、東堂が2本のカチューシャ手に持って荒北はどっちがいいと思う?とか聞いてくる。
ンなんどーでもいい、うっぜ、ダッセ!
鏡見てねェで練習始めろボケナスが!

「荒北、ストレッチしたらすぐにローラーに乗れ
 2時間終わったらレギュラー全員で箱根峠に行くぞ」
「マジかよ福チャン、それ燃えるわァ」

ロッカーに荷物突っ込んで、バタンと閉めると後ろから福チャンがオレにそう言った。
今日はサイジャに着替えて来てっからすぐに練習が始められる。平日も登下校は制服でとかしょーもねぇ校則がなけりゃちったぁ楽になんのになァ。

「おはよー!
 今日は峠行くんだよね、福富くん何時から?」
「10時半には出ようと思っている」
「了解、着替えたら外用の準備するね」
「悪いが頼む、マネージャー」

ローラー台とロッカーの間のスペースにあるマットの上で福チャンに言われた通りにストレッチをしていると、ガラッと部室の扉が開いて千歳がひょっこり顔出した。
そのまま真っ直ぐ福チャンとこまで、制服姿の千歳は紺のスカートを揺らしながらオレの目前を通過していく。
マット座ってるときに現れてんじゃねェ、短いスカートぴらぴらさせんな、オレァ今日沸点低いんだっつーの!

「制服のまま顔出してんじゃねーヨ、
 着替えてから来いバァカ!」
「なっ、言われなくても着替えますよーだっ」

不満げに顔膨らませて千歳は踵を返すと、静かに部室を出て行った。
完全なる八つ当たりなのは否めねェ。でもまたこのレーパンが盛り上がるようなことになるのはマズイ、背に腹は変えられねンだよ。
邪魔モンが消えたところでストレッチももう十分、タイマーセットしてオレはローラーを開始した。



荒北靖友の劣情 2
clubroom / 2017.05.01 / 11.12加筆修正

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