馬鹿みたいじゃない私、勘違いしちゃってさ...
こんなだから私彼氏出来ないんだよ、きっと...」
あぁ私、何やってんだろ。
夜な夜な家を抜け出して、年下の幼馴染に向かってひたすらに、ただ一方的に喋り続ける。隣に座る彼は言葉も発さず頷くばかりで、シンと静まり返る公園には私の声だけが響いてた。
出来るだけ、わざと笑顔を取り繕って冗談みたいにおちゃらけて、これ以上自分が傷付かないように笑って誤魔化してみるけど、やっぱり心のどこかは痛いままで。
じわりと瞳に滲んだそれを零さないよう夜空を見上げると、隣の彼はやっと重い口を開いた。
「彼氏なら、ここに居る」
「え?どこ?」
ぼそり呟かれたはじめの言葉を真に受けた、現金な私の瞳から余分な水分は消えた。
きょろきょろと周りを見渡してみるけの私たち以外に人影はない。あっ、もしかして空の星的な?星の王子さま的な?はじめなりのジョークだった?
だとしたら、笑えない。
「ずっと思ってた、オレが居るのにどうしてって」
続けて発せられたはじめの声が星粒のように夜空に広がる。小さく弱い声なのに、やたらと響いて私の心に染み込んで、不思議とぽかぽか身体は暖まってく。
「いつになったら、オレを男として見てくれる」
月に照らされて輝いている金色の髪が綺麗だ。重ねられた手は、いつの間にそんなに大きく逞しくなったんだろう。
あぁもう、気付かなければ良かった。
気付いてしまった今、私はもうこの手を振りほどけない。