「、ひゃ、ぁっ!」

視覚の暴力、なんて言葉を考えたヤツは天才かもしれない。
吹き付けた春一番、舞い上がる布、目に飛び込んできたそれはまさにバイオレンスで、頭ぶん殴られたみてェにオレは何も考えられなくなった。思考回路がフリーズした、というか、オレだけ時間が止まってる、そんな感覚だった。
当然ンなバカみてェな話があるワケもなく、ふわり浮いた布は緩やかに元の位置に戻ってく。それすらスローモーションに見えて、隠されてた肌色から目が離せなくなっちまってンのは悲しき男の性なのか。

いい天気だっつって、たまたま木陰の芝生に寝転んじまってたのが悪かったのだ。いつもみてェにベンチに座ってりゃあんなバッチリ見えるコトもなかったろうに、降って湧いたラッキーにオレは内心ガッツポーズしながらも、慌ててスカート押さえた女は誰かに見られたとも、オレがンなトコに転がってるともきっと思いやしてねンだろなって思うと罪悪感に似たモヤが心に巣食った。

何かゴメンネェ、誰か知ンねーけど黒いパンツの。
眼福だったヨ、アンガトネ。

制服の下に、ンなエッロい黒い面積の狭ェ布キレ隠してるって、渾身の右ストレート食らったような気分だヨ、オレァ。
さぞかしそのパンツの主は可愛いギャルか、あるいはとんでもビッチなンだろ、オレの完全なイメージと先入観だけどォ。だってンなパンツ女子高生が普通履くかァ?今日日巻頭カラーのグラビアだってもちっと清楚なパンツ履いてンよ。
とか考えてたら一体どんな女があんなパンツ履いてんだって好奇心が頭をもたげてくるってモンで、気付かれないようにそっとオレは身体を起こす。
2組の、確か新開が紐パン履いてそうだとか言ってた、あー名前忘れたァ、おっぱいでけェ雰囲気がエロいアイツとか?それとも6組のビッチか?離れてく背中を葉っぱの影から覗き込むと、予想してたそれではなかった。

「ッジかよ...白崎チャン...?」

つーか気付けよオレ、スカートの丈で。校則通り膝上の長ぇスカートあいつらが履くワケねェ、ンなクソ真面目に普段から校則守ってンの同じクラスの白崎チャンくらいだヨ。
何も知らねェ白崎チャンはスカート気にしながら去っていく。
───マジでェ、白崎チャン。
きっちり着こなした制服ン中はどエロい下着着てますって、気付いちまったオレはどうすりゃいンだよ...いや、どうもしねェけどォ!出来ねェけどォ!?

強烈なボディブローかまされた気分になって、また芝生の上に転がって晴天を仰いだ。
予鈴のチャイムが鳴り響いってっけど、オレは起き上がる気力も無く、ただ澄んだ空に浮かぶ雲を見る。
さっき見た黒のそれに似た、小さな三角形した雲を。

「マジかよ白崎チャン...
 オレァこれからどんな顔して過ごしゃいいのか
 わっかンねーヨ...」



black undies / 2018.06.06
"荒北とラッキースケベ"

odaibako menu
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -