*/ 映画「君の名は。」のネタバレが含まれます/*
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美しい世界観に魅せられた2時間だった。
とはいえ思ったほどではなかったなと少しがっかりしてるのは連日TVで騒がれ過ぎた所為だろう。空前絶後の感動作!観客動員数1000万人、興行収入ジ◯リ超え!とか言われれば無駄に期待しちゃうじゃん?過剰広告も程々にして欲しい。いやまぁ数字が記録的なのも感動作なのも嘘じゃないし、それがあったからこそこうやって普段行かない映画館にまで足を運んだんじゃないかと言われればそれまでである。まんまと商戦に乗せられた私の負けってこと、お金払って観る価値はあったし負けていいんだけどさ。
それはそれとして中々観れた映画だっただけに、前情報に踊らされてさえいなければ私も感動の波に乗れてたかもしれない、なんて思うと残念な気がしてならない。軽く溜め息を吐きながら隣を見ると、スクリーンを真っ直ぐ見つめたままの彼は長い睫毛を濡らしながらぼろぼろと涙を零していた。
うっそ意外、塔一郎のことだからお洒落イタリアンの店であの刺繍スカートは場違いじゃない?とか、爆破とか犯罪どころか寧ろテロだよねとか、何故3年前なことに日付とか曜日で気付かないかな?とか理詰めで攻めてくると思ったのに!予想外の展開に驚き過ぎて声も出ない。エンドロールが流れ始めて少しざわめき出した空間で、なおも涙し続ける塔一郎は鼻を啜りながら揺れる胸に手を当てた。

(アンディとフランクも感動したのかい?)

って私ったら何を勝手にアテレコしてんだろ。
アンディとフランクまで感動させるって偉大過ぎでしょ君の名は。

「塔一郎、エンドロール最後まで観る?」
「ッグズ、うん...いいかい?」
「いいよ、そんなに良かった?君の名は」
「良かったっていうか...いや良かったんだけど
 なんて言うか...感情移入、してしまって」
「感情移入?」
「ボクがもし滝くんで、君が三葉だったとしたら
 ボクは君を助けられるかなって。絶対助けるし
 絶対忘れない、だけど忘れてしまったら、また
 出会えなかったらどうしよう、とか。そんなこと
 考えてたらいつの間にか涙が...アンディとフランクも
 絶対君を助けるって言ってくれるし、この歌がまた
 心に染み渡って余計...困ったな、止まらないよ」
「ふ、ふーん...」

何を言うかと思えばそんな、愛の告白みたいな...
っかー!恥ずかしい!居た堪れない!すぐさま席を立ちたい!あるいはお前は夢見がち女子か!とか雪成に突っ込んでもらいたい!
顔に熱が集まってくけど、スクリーンからの淡い光如きじゃこの赤さはわかるまい。ていうか、わからないで頼むから。いっそ永遠に続けエンドロール。

「...もし君がボクを忘れてしまっても、
 もしボクが君を忘れてしまっても、」
「うん?」
「絶対出会ってみせるよ。
 そしたらまた言うから、ボクは君が好きだって」

なにこれ、なにこれなにこれ、やめてよ塔一郎、私の心臓壊れるじゃん。
空前絶後の感動作!観客動員数1000万人!興行収入ジ◯リ超え!彼氏からの愛の告白付き←new!

...偉大過ぎでしょ、君の名は。



because I love you / 2018.02.08

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