コロコロ転がるいちご味のキャンディは、
私の靴に当たって止まった。

状況は変わらないまま、鞄を抱き締めた身体は動かそうにも動かない。確か次の駅はこちら側の扉が開くはずで、人の流れに乗って一度ホームに出れさえすれば、現状を打破出来るはず。
固まった思考回路をどうにか回転させて、下半身に触れる気持ちの悪い熱から逃げることだけ考えよう。
遅刻は確実だけど、否応無しだ。

『次は 中富士駅〜 中富士駅〜』

耳に入る次の停車駅を知らせる車内アナウンス。
電車の走行速度は減少していくのに、まさぐる手はまだ私の内側にあって、ぎゅっと目を瞑りひたすら願う。

(早く、早く着いて...)

じわじわ上がってきた手がスカートの中の布に触れそうになって、ぎりぎりのところで抑えつけてた嫌悪感とか恐怖心とかが一気に込み上げてきた。
泣いたってどうにもならないのはわかってる。なのに目頭は熱くなってって、瞳を潤す水分が溢れそう。
お願いだから、もうやめて...誰かっ...!

「オイ、おっさん
 何してんだヨ、次の駅で降りようぜ」

寸前のところで隣から聞こえた声、それと同時に気持ちの悪い感触から解放された。
声のほうを見上げるとそこには背の高い黒髪の男性が立っていて、彼は私の後ろに居たスーツ姿のおじさんの腕を掴み、それを私の目線くらいに高く上げていた。
願いは届かず電車はまだ止まっていないけど、神様は、代わりに私が本当に欲してた他力本願な願いを叶えてくれた。

『 ーーー誰か、助けて 』

周囲の視線を浴びて恥ずかしいのと、願いが届いた驚きと、解放された安堵感と、色んな感情が絡み合うなか電車はやっと動きを止める。
目の前の扉が開く、
スローモーションのようにゆっくりとーーー



AとJK 1-6
お願い神様 / 2017.06.06

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