どうも何かひっかかる。

何故白セーラー女は満員電車でスカートがめくられていて、驚いたように体を震わせたのか。
思い返せば普通じゃありえねぇことじゃねぇの、混雑くらいでスカートがめくれんのか?んなん頻繁に起こるんだったら、雨の日の満員電車も眼福でさほど苦じゃなくなる、ってのはまぁ言い過ぎだが、それ目当てに満員電車に乗るバカが居ても不思議じゃない。
そういうバカの話は聞いたこともねぇし、電車に乗るだけで見て分かるほど驚くことがあるとも思えねぇ。
どっかの名探偵でなくともわかる、簡単な話だ。
ーーーきっと犯人は白セーラーの隣にいる。

「...あ、ちょっとスンマセン」

たまたまポケットの中に入っていた飴玉を、わざと向こうへ落とし拾うフリして人壁をかき分ける。
拾おうと少しかがんでみようにも流石にスペース的に無理なもんで、まぁ目的の人物の横まで移動出来たのだから有意義な犠牲だったろう。
鞄を抱き締めて小さくなってる白セーラーは俯いて表情こそ見えねぇが小刻みに震える肩を見る限り、オレの憶測は間違ってなさそうだ。
視線を落とせば、ほらな、やっぱり。
朝っぱらから盛ってんじゃねェ、くせぇんだよクソリーマンが!
って、どうするつもりだよオレ。
ヒーローなんで柄でもねーのに。

『次は 中富士駅〜 中富士駅〜』

タイミングよく流れる車内アナウンス。あー!気付いちまったモンはしょうがねぇ、腹ぁくくれオレ!

「オイ、おっさん
 何してんだヨ、次の駅で降りようぜ」



AとJK 1-5
落ちた飴玉 / 2017.05.22

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