窓際で揺れる白のカーテン、
それと同じリズムで彼女の長い髪も揺れていた。
手にした本を見るでもなく頬杖をついたまま
ぼんやりと階下を眺めてる、ぱらぱらとページが
捲れていくのにも構わずに。
部室へ向かう渡り廊下から学舎を見上げると
いつも窓辺に居る彼女は何となく幻想的で、
いつしかそこを通るたび無意識に彼女の姿を
目が追うようになっていた。
彼女の視線の先には何があるんだろうか?
一つの疑問が胸の内に浮かび上がる、
その答えを知ったと同時にオレは
彼女への恋心に気付くことになる。
ベクトルは噛み合わない、
ただ真っ直ぐに一方通行、現実は残酷だ。
この恋は叶わない、叶わせるつもりもない
それでもオレは、彼女に触れたいと思ったんだ───