玄関扉が閉まる音が聞こえると同時に彼の温もりに包まれた。視界は緑に埋め尽くされて、静寂のなか聞こえるのは裕介くんの鼓動だけ。
いくらなんでも早急過ぎじゃ、なんて愚問は発さない。早く触れたかったのは私も一緒で、彼の背に腕を回してその場でしばらく抱き合った。
ゆっくり身体を離して視線が合うと、裕介くんは私の唇に軽いキスを一つ落として、

「...オレの部屋、行くッショ」

そう囁くと私の手を引き、自室へ私を連れて行く。
なんとなくその光景に見覚えがあるような気がして、扉を閉めて裕介くんを見上げると、今日は自分で脱ぐなよとクハッという独特の笑い声と一緒に彼は言った。
私もそれにつられて笑って、指で梳くように裕介くんの髪に触れながら、その首に腕を絡ませ口元のほくろに口付けをした。
瞳を閉じて受け入れ態勢だった裕介くんは、釈然としない様子で瞼を開くと、待ちきれないと言わんばかりに自ら唇を押し付けてくる。今度は触れるだけじゃ済まない、ねっとりと絡めとるようなキスは、私の全てを魅了した。

「っふ...はぁっ...」

どうしてこんなにも裕介くんとのキスは気持ち良いんだろう。身体の奥がどんどん熱くなる。
下腹部あたりに硬い何かが当たっているのは彼も熱くなってきている証拠で、私は無性にそれが愛しくなって彼の首元にあった腕を下ろし、膨らんだ裕介くんのズボンを撫でた。
自分で脱ぐなとは言われたけど脱がすなとは言われてないし、窮屈そうな裕介くんを解放しようと彼のベルトに手をかける。カチャカチャと金属音を鳴らしていると、裕介くんも私の衣服を脱がせにかかってきて、私が裕介くんのズボンを下げれば、裕介くんは私の上着を投げ捨てて、私が裕介くんのジャケットを脱がせれば、裕介くんは私のシャツワンピースを剥ぎ取った。
お互いが下着のみになったところで脱衣戦争は終わりを告げて、まだお昼過ぎなのに何してるんだろうと思うと少し笑えた。

「...何笑ってんショ」
「ん、何でもないよ、幸せだなって思っただけ」
「千歳...」
「裕介く、んぅっ...」

3度目のキスは深く深く、そのままなだれ込むように
私たちはシーツの海に身を投げたーーー



Jack spider / and then... 18
over again / 2017.08.04

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