ガタン...ガタンゴトン...

より酷い湿気と加わえられた熱気にげんなりしながら電車に揺られる。
車窓は結露していて流れる景色は見えないが、見えたところで特に彼の琴線に触れるものはないだろう。富士山ですら見慣れてしまって、もうなんとも思わない。むしろ富士山といえば5月に行なわれる富士ヒルクライムのイメージしかなく、目に浮かぶのは山景ではなく数千人のライダーの姿だ。

(今年の富士ヒルどうすっかァ...)

昨年の富士ヒルクライムの情景を思い出しながら、ふと足元に視線を落とすと視界の端に白のスカートを見た。
色味の濃い服を着用した周辺の乗客に混じったそれは、意識しなくとも、とても目立つ。

(...マジか、JKの腿チラとか今日ツイてっかもォ)

意図せず発見した白のスカートをよくよく見ると、スカートの中に収まっているはずの色白の太腿が見え隠れしていた。ひざ丈のスカートが人に揉まれ、たくし上がっているのだろうか、想定外の出来事に健全な男子大学生である彼のイライラは多少緩和されたようだ。
そんな現場を目撃してしまったら御御足の持ち主を見てみたい気持ちもうまれるわけで、足元から頭の方へと目線を上げると、乗客を一人二人挟んだ先に白のセーラー服で身を包んだ女子生徒が俯いているのに気付く。
乗降扉の方を向いて、恐らく学校指定だろう鞄を抱きしめ白スカートの女子生徒は電車が揺れる度にぎゅうぎゅうと扉に押しやられていた。
彼が通う大学の近隣にある女子高校の上下白のセーラー服に肩にかかる黒のミディアムヘアがよく映える。凝視しないよう気を付けながらまた視線をスカートに戻すとちょうどカーブに差し掛かった電車がガタンと大きく揺れた。予測していなかった衝撃にふらついてしまったのは勿論彼だけではなく、大体の乗客は左に一歩踏ん張る形で体勢を崩し、お陰で白スカートの女子生徒は先ほどよりもスペースを確保できたようだった。
女子生徒までの視界が少しだけひらけた瞬間、彼女の肩がびくんと震える。だがそれも一瞬の出来事で、体勢を持ち直した乗客はまた先ほどまでの定位置に戻ってしまい、白スカートは乗客の陰に隠れてしまった。

(あーぁ、せっかくいいモンが見れてたのにヨ)
(...にしても今のはなんだァ?)

(気のせいじゃねェ...なんかにおう、におうぜ)



AとJK 1-3
白のスカート / 2017.04.29

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