MEMO

メモ帳からも持ってこようと思ったけど、ツイログだけで結構量があったのでネタ垢のツイログのみ
唐突に始まって唐突に終わったりします(続かない)

今泉くん、荒北さん、黒田くん、銅橋くん、葦木場くん、御堂筋くん、小鞠くん

興味があればどうぞ〜


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今泉俊輔はどスタンダードなおセッセしかしなそうだなって唐突に思い立った
割と自分本意気味の、前戯はそこそこに突っ込んで正常位でイッたら終わり的なルーチンワークおセッセ
んで終わったらさっさと一人シャワー浴びに行くという配慮のなさ
本人は相手も満足してると思ってるし、シャワーも単に汗かいた状態でいるのが嫌なだけなんだけど、彼女的には終わったあとゆっくりイチャイチャしたいし、どうしてもシャワー浴びたいなら(恥ずかしいけど)一緒にシャワー行きたいって思ってるわけよ。もちろん今泉くんは気付けてないnotエリート
求められるのは嬉しいし、おセッセだって嫌いじゃないけど何かモヤモヤする...
でもああしてこうしてって言うのも恥ずかしいし、うるさい女は嫌いだって言われたら嫌だし...
って思って言えない彼女
今泉俊輔ー!!気付けー!!
まぁでもそこまでバカではないので、事後彼女微妙な顔してるのには気付いてるんですよね
何がいけなかったんだ...でも気持ちよさそうだったぞ...?とかシャワー浴びながらおもってんだよね
それだよそれ!!事後大事にして!!

という前提があっての話のネタ
(前置きが長い)

「明日は1日オフになった。久しぶりだし、どこか行くか?」
デート!久々のデートだ!ならランドに行って遊び倒してから俊輔くんのお家にお邪魔して、と一瞬で頭に思い浮かんだプランは、これまた一瞬で廃棄した。
俊輔くんのお家に行けば、またきっとあの行為に及ぶことになるだろう。
どれだけ疲れていても行為は別だとか、デザートは別腹!と言い張る私と同じようなことを俊輔くんは言うんだ、ランドで遊び倒したって彼はきっとお構いなしに私を抱くんだろう。
決してそれが嫌なわけじゃないし、求められるのは嬉しくもある。だけどあの後のもやもや感をどうしようも出来なくて、私は行為自体を避けたい気持ちになっていた。
でもそれじゃなんの解決にもならないって分かってるけど「ねぇ俊輔くん、えっちのときもっとこうして欲しいの」なんてはしたなくて恥ずかしくて言えるわけがない。
もっと触って欲しい、もっとゆっくりじっくりして欲しい、正常位以外でもしてみたい
シャワーを浴びる前にもっとぎゅってして欲しい。
これが言えたらどれだけいいだろう、言葉にしなくても伝わる方法ってないのかな。
「どっか行くならどこがいい?」
「俊輔くんのお家」
「...は?いつも来てるのに?どこも行かなくていいのか?」
「えっ、あっ...うんいいの、俊輔くんのお家がいい」
ぼんやりしてたらうっかり口が滑ってしまった。
せっかくデートのチャンスだったのに!と思うけど、これはもう明日、意を決して俊輔くんに言わないといけないよっていう神様の思し召しなんだと私は腹を括る。今私が清水の舞台から飛び降りる気持ちでいるなんて、俊輔くんはきっと思いもしてないだろう

あれ普通に話を書くつもりじゃなかったのに何故
そんな感じで1日掛けておセッセするんですよ

「待って俊輔くん、今日はする前に話があるの」
「...何だ?」
「あの、えっと、その...お願いがあって...」
「何かあるなら早く言えよ、じゃないともう、」
「あっ...待っ...!」
「我慢できねーよ」

(彼女の勇気ある一言でエリートに進化する今泉俊輔の話)

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「だから違うって言ってるじゃん!!」
「何がちげェンだよ!違わねェだろ!」

いつからそうなってしまったんだろうと思い起こしても、もういつからかも分からない。顔を合わせる度に口調は強さを増していって気付けばまた喧嘩をしてる。あぁ今日も喧嘩しちゃうのかなって靖友の部屋に向かいながら思うのも、そろそろ嫌気がさしてきた。これがいわゆる潮時ってやつなんだろうか。好きなのに上手くいかない、単純に根本的な何かが合わない。きっとそれが離婚理由でよく聞く「性格の不一致」ってやつなんだろう。
もう別れよう、終わりにしよう。今度こそ靖友に言わなくちゃ、不毛な付き合いはもう懲り懲りだ。
「もう無理、限界。会う度喧嘩しかしない関係に意味なんてないよ。別れよう」
「ハァ?オメーが嘘吐かなきゃそもそも口論になンねーっつーのに、どの口が言ってンだよ!」
「嘘なんか吐いてない!本当にたまたまだって言ってるのに靖友が信じてくれないだけじゃない!私を信用出来なくなってる時点でもう終わってるんだよ...もうやめよう、こんな付き合い」

(荒北さんと別れ話)(結局別れない)

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野球時代の荒北さんと年上ヒロインの話
過去捏造はそういえばしたことなかったなーと思ってメモ

「っだー!ンだクソッ、めんどくせェ!」
「やったげるよ、貸して」
「...ン、」
「大変だね、エース様は」
「ッセ」
「手」
「ア?」
「なんか、男らしくなったね。ゴツゴツしてるっていうか、これタコ?ボロボロだね」
「そりゃ毎日投げ込んでりゃボロボロにもなンだろ」
「私は好きだよ、靖友の手。働き者の綺麗な手だ」
「ッハ、それどっかで聞いたコトあっけどォ?」
「当てたらご褒美にチューして進ぜよう」
「ナウシカァ」
「はっや!えぇ、しかも正解だし...靖友結構ジブリ好きだよね」
「そりゃオメーだろォ、オレはそれに付き合わされてただけだっつの」
「うそばっか、魔女宅見てジジが喋らなくなった!!って半泣きになってたのは誰?」
「ハァ!?なってねーし!!しかもいつの話だヨ!!」
「最後までジジが喋らなくて「なァ、これ、また喋るようになるよな...?」って心配そうな顔して言ってたじゃん。それに私は知ってるんだよ、道すがら出会った黒猫に「...オメーは喋れんのォ?」って聞いt」
「だぁぁぁぁ!!ウッセバーーカ!!」
「ねぇ今でも黒猫に聞いてるの?喋れるのかって。ねぇ、ねぇねぇ?」
「チッ...もう黙れヨ」
「っん、はぁ......あ、マニュキア乾いてないのに触っちゃったじゃんもー、急にそういうことするから...リムーバー取って」
「ン。なァご褒美はァ?」
「今したじゃん!」
「ハ、今のカウントすンなよ」
「しますー、一回は一回です!」
「ッだソレ...」
「しょうがないなぁ、これ乾いたらね。ほらちゃんとこっち向いて、じっとして」
「...ン」


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「なぁ、それおかしくねぇ?」

私の中の、彼の印象は悪かった。
私が黒田雪成という一人の男をまともに認識した時に言われた言葉がそれだったからかもしれないけど、とにかくその時何か嫌悪感のようなものが私の心に巣くったのだ。
あの自転車部に所属している彼のことだから、どうせ部活があるからとか言って大して準備に参加もせずに、そのくせいざ祭りが始まれば、ここぞとばかりに謳歌するんだろう。そして片付けとなればまたきっとさりげなくフェードアウトするに違いない。スクールカーストの頂点に君臨する系男子なんてものは絶対そうに決まってる。
実行委員の私が、ない頭ひねってアイデア絞り出して会議重ねて、少ない予算をやりくりしてどうにか完成したこの我がクラスの学園祭案を開口一番否定するなんて、どうせ協力なんてするつもりもないくせに。
なまじ彼の発言力はクラスでもトップクラスなだけに、そこまで深く考えていなかった一般クラスメイトたちまでも私の案に疑念を浮かべた。
それがきっかけでクラス会議はあぁでもないこうでもないと盛り上がりを見せ、学園祭案はより良いものになったし、クラスの結束も高まったので、結果的に言えば良かったのかもしれないけど、これまでの私の努力はなんだったのかと虚無感に包まれる
そんなの単なる逆恨みでしかないっていうのは自分でも分かっているけど、この一件のさいで、私の中の彼の印象はとてつもなく悪くなったのだ。

(と思ってたけど文化祭準備きっちり手伝ってくれたうえに片付けも逃げる男子さりげなく捕まえてきっちりこなした黒田雪成を見直す話)(になるはずだった冒頭)


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長時間のフライトに荒い山道走行、それから6回繰り返した小さなヒルクライム、酷使された身体は悲鳴をあげてる。車から降りて固くなった身体伸ばせばバキバキと骨が鳴った。今日はもう無理だ、疲労困憊ショ。履きっぱなしのビンディングシューズにでっけぇ石でも付いてんのかってくらい脚が重い。
「巻島ぁ、荷物どうする」
「あぁ、最低限のモンはこっちの鞄にいれてっからそれはそのままでいいショ、さんきゅー田所っち」
「ガハハ、いいってことよ!」
長時間運転してたのに元気だな流石田所っち...でもちょっと声でけぇ、もう夜遅いっつーのに近所迷惑だ。
あんま音立てねぇように車のドア閉めた意味なかったっショ。
夜も変わらず湿気と熱気が身体に纏わり付いてくる。あーこれぞ日本って感じするショ、この不快感が何とも言えねぇ。さっさと田所っちの家にお邪魔して涼しい部屋で今日はさっさと寝ちまって、明日もまた日光に、

「ま、きしまくん!?」

またでけぇ声で、誰だよ近所迷惑ショ。
節々痛む身体で車の向こう側見ると、半袖パーカーに短パンで小さいビニール袋ぶら下げた、いかにもコンビニ帰りって感じの女が一人立っていた。暗くて顔はよく見えないが、その声に聞き覚えがある。
『巻島くん』『ま、きしま、く...』
....クハ、何だよ今日は、

感動の再会、何回目ッショ。

「...よぉ○○、元気してたかぁ」

(2年目のインハイのために帰国した巻島さんが渡英で別れた彼女にばったり再会する話)

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もし運命ってヤツが目に見えたなら、それって時計のようなものなんだと思う。運命の歯車が〜とかよく言うし、ぐるぐる廻る針がそれみたいだし。
やっと一番上にたどり着いたら扉が開いて、ポッポの鳩よろしく運命が顔を出す。偶然に起こるわけじゃない、これは必然。それでこそ運命だ。そうでしょ?
さてここで問題です。
運命を自分の手で切り開くためにはどうしたらいいでしょう?
答えは簡単、タイマーをセットしたらいいんだよ。ほら、毎朝目覚まし時計をセットするみたいに。
運命の歯車が、そこでちょうど発動するように印をつけて、その時を待てばいい。
私はただぼんやり針が回ってくのを見るだけの傍観者になるつもりなんてない。世界の中心はいつだって自分で、私の物語は私だけのものなのだから。

カチリ、また一つ針が進む。
運命の扉が開くその時は、もう間近ーーー

(「本日運命予定日」で書くつもりだった葦木場くんの話の冒頭)

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一個下(悠人世代)、幼馴染、小柄、昔まーくんと結婚の約束をしたことがある、まーくん追っかけて箱学に進学した
「もうすぐ私16歳になるよ、やっとまーくんのお嫁さんになれる」
から始まる、うざ絡み系の恋〜〜!!

(前に供養したバシくんの話の続き)

まーくん!
あ?...はぁ!?◯何でここに、
まーくんが全然帰ってきてくれないから来ちゃった
来ちゃった、じゃねえ、何で箱学の制服着て、
入学したからだよ?
ぶ、はぁぁぁ!?
まーくん約束覚えてる?
何のだ
もーほら、私の5歳の誕生日にした、16歳になったらお嫁さんにしてくれるって約束!
んな約束した覚えねえ!
ひどいよまーくん覚えてないなんて...まぁ言うと思ってたけどさ...でも大丈夫!ここに証拠がありまーす!じゃん!
なっ...んだこれ
当時書いた婚姻届!ほらみてみて、まさきよって書いてあるでしょ?後生大事に持ってたんだよ私。16歳まであと少し、やっとまーくんのお嫁さんになれると思うと嬉しいなぁ
...ッ...ブォォォ!!こんなの認めねえ!!

(っていう話でした)(供養物まとめから抜粋)

まぁまーくん女子には優しいので、ブォォ!!ウゼェ!!!とか言うくせに拒絶は出来ないので結局付き合うことになりますよね(確定事項)
バシくんは女子のお願い断りきれないとこある...そういうとこあるよ銅橋正清...
それでそれで、晴れてお付き合いが始まるのだけど、バシくんは根本的にお堅いので、まぁ清いお付き合いをするんですね。正清だけに超清い。やばい。今時こんな高校生いないレベル。あの泉田塔一郎もびっくり。
(泉田くんも清いけど、多少の接触(手を繋ぐ触れるだけのキス)くらいはしそう)(妄想)

晴れてお付き合い出来て、まーくんのお嫁さんに一歩近付いたというのに肝心のまーくんが乗り気でない。抱き付いてみたりするけど反応がない。色気が足りない?ちょっとスカート短くしてみるけど、校則守れって怒られる。違うのに...
もしかして幼馴染だから渋々付き合ってくれてる?そういえばまーくんから好きとか言われた事ないし、最近あんまり目も合わせてくれないし...いやいやまーくんは照れてるだけだよ、ね?そうだよねまーくん...?
触れてくれるといえばポンと頭撫でてくれるくらい。積もり積もる不安、まーくんはどうして私に付き合ってくれてるの...?
付き合って三ヶ月、意を決していつもは背中に抱きつくところを正面から抱き付いてみる。でもやっぱりまーくんはオイバカ離れろ、としか言わなくて、顔を上げてまーくんを見ると眉間いっぱいの皺。その瞳は私を見てすらなかった。
ねぇなんでそんな顔するの...?私はこんなにまーくんが好きなのに、抱きしめて欲しいのに、どうして触れてくれないのどうして私を見てくれないの...?
心の中のダムが決壊、瞬きもしてないのに涙が溢れた。
「ブォ?!は、ちょ、お前、何...っ!?」

(突然の涙に動揺を隠せない銅橋正清。涙に弱いよねバシくん、そういうとこある...)

何で泣いてる!?どうして、どうしたらいい、オレは!?パニックになったオレの腕は宙をひたすら泳ぐ。
落ち着けオレ。理由、そうだ理由を、
「あー...何か気にくわねぇんなら言えよ」
「……〜っ」
「ハァ?何言ってんのかわかんねぇ、ちゃんと言え!」
「…まーくんは私に指一本触れてくれない、好きだとも言ってくれたことがない、私は毎日言ってるのに…私がしつこく迫ったから、私が幼馴染だから付き合ってるの...?」
途切れ途切れに聞こえる声は今まで聞いた事ないくらい悲壮感を帯びていた。でっけぇ瞳から止め処なく流れる大粒の涙を一生懸命ぬぐいながらオレを見上げる姿は昔のまんまだ、変わんねぇなって混乱する頭ん中でふと思う。こんなとき昔のオレはどうしてやってた?記憶の糸を手繰り寄せる。そうだ確か、
『泣くな!オレがついてる!だから...もう泣くなよ...』
『ひっく...じゃあまーくんずっと一緒にいてくれる...?』
『いる!だから泣くな!』
『ほんと?』
『ほんとだ!オレはうそはつかねぇ』
『ほんとのほんと??じゃあまーくん、私をお嫁さんにしてくれる...?』
『する!だからもう泣くな...』
思い出した...確かに5歳の時のオレはそう言った...あぁそれであの婚姻届書かされたんだったか...
鮮明に思い出してしまった記憶に頭を抱える。そうだ、オレはこいつの涙に弱いんだ。昔も、今も。
「泣くな、ちゃんと言うから...」
「ぐずっ...」
「別に幼馴染だからとかじゃねぇよ、そんな生半可な気持ちでオレは誰かと付き合ったりしねぇ」
「じゃあ何で私と付き合ったの...?」
「っあー、んん゛...あ゛ー...その、あれだ...ほら...あれだよ...」
「どれぇ...わかんないよまーくん...」

「〜〜っっだから!!オレはお前のことが好きだし!!嫁貰う約束も守る!!わかったか!!」

苦しいくらいにきつく抱き締められて、まーくんの顔が見えなくなった。ねぇ本当?その言葉、嘘じゃないよね...?恐る恐る背中に腕を回すと、まーくんの大きな手が私の頭を撫でる。昔からそう、まーくんは私が泣くとこうやって...嬉しいのにまだ子供扱いするのって気持ちが少し顔を出す。私って、強欲だ
「...まーくん、もっと」
「ア゛?!」
「すき」
「...オレも好きだ、○」
「ふ、へへっ...嬉しい、私まーくんとずっとこうしたいって思ってたの」

細い腕に力が篭った。オレの胴体にしがみ付いてた○はそう言うと、身体を離してオレを見上げる。赤くなった瞳、目尻に少し水分を残しながらも満面の笑みを湛える○は昔からなんも変わんねぇ。ずっと、ずっと誰よりも可愛い○だ
触れればこのか細い身体が壊れちまうんじゃいかって怖かった。怖かったから触れずにいたんだ、なんてカッコ悪い事は言えねぇ。オレのそんな下らないプライド持ってたせいで○を泣かせちまった。もっと早く抱きしめてやれば良かった。後悔しかない。
初めてまともに触れた○は思ってたより強くて、思ってたよりずっと暖かかった。
本当はもっと触れてぇよ、でもそれ以上に大事にしたい。っつってもお前は多分理解しねぇんだろな。

「ねぇまーくん」
「...んだよ」
「この流れでちゅーとかは」
「ッバ!?しねぇよ!!!」
「ちぇー」

HappyEND!

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後ろから、私を追い抜いていった自転車は風のようだった。呆気に取られている間にそれはあっという間に姿を消したけれど、私の中に色濃く残った。駆け抜けたそれは私の知っているものとは違う、言うなれば異様な異質なもので、一般的に言えば「気持ちの悪い」部類であるのかもしれない。
だけど私には、私だけには、唯一無二のそれが尊く愛しいものに見えたのだ。所謂一目惚れとでも言えば良いのか、それとも運命と呼んでしまおうか。

これは、私が彼、御堂筋翔を追いかける七年の軌跡のお話である。


ーーーあれから何日経ったのだろうか。
ふとそう思って頭の中で考える。担任の弾んだ声を右から左へ流しながら数えてみるけど明確な数字は分からない。

「そうやね、この調子なら第一志望の、」
「先生」

饒舌な言葉を遮ると、丸くなった両の目が私を見上げた。その先の言葉が聞きたいのではないのかと言いたげなその目線にニコリと微笑を返す。
第一志望も余裕でしょう?そんなのは知っている。私はそんなことを聞きに職員室に来たのではない。

「どうかしたん?」
「先生、自転車競技が一番強い学校知ってはります?」
「自転車...?自転車いうたら京都伏見が有名やったような...」
「私、そこに進学します」
「な、何言うてはるんです、第一志望は、」
「そういうことなので、よろしゅう頼みますね先生」
「あっ、ちょっ、待ちなさい!」

一変して焦りをみせる声を背に受けながら、言うだけ言って職員室を出た。跳ねる心臓、今更ながらに身体が震える。
言った。言ってやった。
あの進学女子校に行かせたいのは体裁を気にする両親と、学校の面目を保ちたい教師だけ。私の意思なんかじゃない。これまでずっと、言われた通りに生きてきた。自我も無く、欲も無く。それでいいと思ってた、あの日までは。

「京都伏見...きっとそこに...」

(御堂筋くんを追いかけて追いかけて続けた女の話)

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夏の音がする、と言うと彼は抽象的だと眉ひとつ動かさず吐き捨てるように呟いた。
「具体的に」
「えっ、えぇ...なんかこう、蝉の声?とか、風鈴とかそういう...」
「はぁ...雑ですね。日本語の才能無いんじゃないですか」
「日本語に才能とかいる!?ほら夏の...夏のさぁ...風情が...ある音...?」
「尚更酷い」
「そういうの傷付くんですけど。夏...夏の日差し...あっ、木漏れ日の中、ひと夏のアバンチュール?」
「何の話ですか」
「...私にも分からない」
吐き出された吐息は音を立てた。たまたまだったのか溜息だったのか、恐らくは後者だろう。ない頭を振り絞って耳に聞こえるこの音と、目に映るこの情景を言葉にしようとしてみるけれど、耳障りな蚊の羽音のような唸り声しか出なかった。先輩の威厳の欠片もありゃしない、私ったら情けないな...
「蝉...汗...夏の...んんん...んっ!?っん...」
頭の中に文字を巡らせ無意識に閉じていた瞼の上に何かが触れた。咄嗟に目を開くとさっきまでそこの椅子に座っていた男の顔があって、水色がかった毛先が視界の端で揺れていた。驚嘆の声が出る暇もなく、今度は唇にそれが触れる。柔らかい、肉の感触ーーー
「っは...なんっ...」
「悪くないかなと思いまして」
「...な、にが」
「ひと夏のアバンチュールも」

(小鞠くんと部室でアバンチュール)

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「大丈夫だよ、大丈夫」

分かったような口をきくな反吐が出る。
私の何を知っていると言うのか、どうせ何も知らないくせに。
怒りに任せてヘラヘラ笑うだけの男の広い胸元を拳で叩いた。何度も、力一杯手加減も無しに。それでも男の頬は緩んだままで、身体と比例した大きな口はまた同じ呪文を唱える。
「大丈夫だから」
耳よりももっと上から降ってくる柔らかい声色、暴虐を働いていた私の腕は身体諸共いとも簡単に男の身に覆われた。
癇癪を起こす子供を宥める母親か!慣れっこか!なんてどっかの黒猫みたいな突っ込みをするわけではないが、その扱いに余計腹が立つ。
そうやっていつも子供扱い、いい加減にして。

「何が大丈夫よ、拓斗は何も分かってないくせに!知らないくせに!私がどれだけっ...」
「知ってるよ、分かってる。オレだってそこまで鈍くないよ。でもまだダメ、ユキちゃんに怒られちゃう」
「っそんなの!」
「...ダメだってば、ほら予鈴」
「拓斗、私っ」
「『先生』だろ、休憩時間はもう終わりだ。その先は、まだ聞けない」
「っ...」
「早く行け、遅れるぞ」

私を見下ろす細められた瞳にワントーン下がった声、離れた身体、肉体的にもに精神的にも距離を置かれた気がした。小走りで音楽準備室の出口に向かいながら名残惜しく振り返るけど視線が合うことはなかった。
何が知ってる分かってるよ、嘘つき。

「じゃあね葦木場先生!!失礼しました!!」

これ見よがしく一際大きな声と音を立てて扉を閉める。私のこういうところがきっと子供なのだろう。
自己嫌悪に襲われながら行く廊下はひんやりと冷たかった。

***
「ねぇユキちゃん」
「何だよ」
「もう無理限界」
「懲戒免職になりてーのかよ。あと数ヶ月だろ耐えろ拓斗」
「だって!あんな!教室で二人きりでフグゥッ!?」
「声がでけーんだよバカ!!場所考えろ職員室だぞ!?...後で話聞いてやるから落ち着けよ...」
「ゴモォ...(ユキちゃん息できな)」

(葦木場先生と幼なじみの女子高生の恋の話)

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以上でした!
メモ帳のほうの小ネタはまた後日...?

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2018/11/26 00:08

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