06


残念なお知らせがある。
クソ川の中で小スカがマイブームだという点についてだ。小スカがマイブームとか、お前の脳味噌はついに狂ってしまったのか、キモイのも程があると溜息を吐き出したい。あ――あ、わかった、わかった、百歩譲って小スカがマイブームなのは良いとしよう。個人の性的趣向に興味はねぇよ。いくら同じチーム内で戦う仲間だろうが。
花巻がSM趣味でも松下がロリコンだったとしても興味ねぇだろ。それと同じだ。
俺が巻き込まれなければ、クソ川、キモ川が小スカがブームでも勝手にやってろ、ただし軽蔑はするということで終わらせられたのだが、俺を巻き込んでくるので性質が悪い。

今だって及川から差し出されたお茶を危機管理能力が働いた俺が払いのけ、間一髪を制したと安心しきっていたが、まさか自分が家から持ってきたお茶の中に利尿剤が含まれているとは予想すらしていなかった。テメェあとで覚えてろよ。
殴る所じゃすまねぇからな。
チンコを抑えてトイレに駆け込もうとした俺の腕を掴んで、ぐいぐいと引っ張る。膀胱が破裂しそうな俺が力でねぇのを判った上での行動だ。下手をすれば膝から崩れ落ちて、ションベンを垂らしてしまいそうなので、抵抗できない。
そのまま部活終わりの俺は難なく、ホテルへと連れ込まれた。まさか初めて入るラブホが同級生で幼馴染の男とは俺だって予想すらしていなかったさ。一言でまとめるなら、及川を殴りたいという言葉で俺の気持ちがいかなるものか理解してもらうことが出来るだろう。
慣れた手つきでタッチパネルを押していく及川を眺めながら、コイツは俺以外とも来たことあるのかよ! 知ってた! 滅びろ! とほほ笑む及川になけなしの力を振り絞って唾をかけてやった。
学生の財布にも優しい2890円のラブホテル。先に金を投入して、及川と一緒にエレベーターに乗り込んだ。

連れて行かれた先は童貞が思い描くラブホテル丸出しのハートのベッドにピンクの布団、回転するベッドという王道タイプのラブホテルだった。床はカーペットが引かれてあったが、靴からスリッパに履き替える暇もなく、俺は真っ裸にされる。
抵抗を示していると、及川が耳元で囁いて「制服がオシッコ塗れになっても良いの」と言ってきた。悪魔の囁きだ。そもそもテメェが利尿剤なんて卑怯な方法でこなければ、こんなことになっていなかっただろう。
真っ裸になった俺に及川はポケットから指輪のような形をしたゴム状のやつを取り出した。

「なんだよそれ」
「今回は計画性な行動だから。コックリングだよ」
「キモ」
「せっかく岩ちゃんの為に買ったのに!」
「買って欲しいなんて誰が頼んだ!」
「前回はゴムの即席コックリングだったから、俺なりに気をつかったんだよ。それとも、貞操帯の方が良かった?」
「貞操帯はてめぇにお似合いだよ」

この万年発情期! 性欲魔人野郎! と吐き出すと、なぜか照れた。不思議でならない。照れる必要性皆無だろうが、テメェ。

「俺が性欲魔人になるのは岩ちゃんだけだよ」
「お前が他の女子ともしてないこと知らないとでも思ってんのかよ」

及川は良くも悪くも有名人で、噂は山のように溢れている。嘘のやつも沢山あるが、これは本物だなってやつは長年の勘で判る。及川のことを俺が理解しているとか、そんなキモい勘じゃなく、及川の隣に長年いたから身に着いた勘という奴だ。
及川が付き合ってもない女子と寝ているという噂は数ある噂の中で何度か耳にしたこともある。嘘もあったが、及川が噂になった女子と話しているのを見て、これは本当にしたな、と思う女子が何人かいる。女子がいるなら女子の方に行けよ! と怒鳴ってしまいたい気持ちと、なんだか、胸の中で嫉妬のような気持ちが燻る。女子に対して半分、及川に対して半分だというのだから、自分の中でも首を傾げ、正気に戻れ俺! と頬っぺたに往復ビンタを食らわしたい内容になっている。

「あ――そんなこともあるけど、岩ちゃんにだけだよ」
「はいはい、そんなことより、コックリングつけるのやめろ」
「ヤダ」
「死ね」
「死なないよ。岩ちゃんとセックスするまではね」

週に三回くらいのペースで俺等セックスしてるじゃねぇかよ。しかも、テメェの計画通り進むとこの後、俺はお前のチンコぶち挿されるんだろうが。今すぐにでも死ねる条件は整っているから安心してイけよ。
なんて静止は虚しく俺の爆発しそうでふるえているチンコにコックリングが装着された。これで踏ん張る必要はなくなって腹筋は楽になったが、亀頭あたりが痛いので本末転倒だ。

「さーて、本日のテーマは前立腺攻めだよ」
「んだ、そりゃ」
「前立腺攻めは前立腺攻めだって。岩ちゃんにもっと気持ち良くなって欲しくて」

及川が恍惚の笑みを浮かべながら鞄の中からジェルを取り出して、俺のケツに挿入した。

「っ―――」

いつもとおり勢いよく出された潤滑油が俺の中で、ぷちぷちと弾け飛び気持ちが悪い。背中にぞくりとしたものが這い上がってくる感覚は慣れないし、潤滑油を利用されることにより、普段とは利用方法が異なるケツの使い方を今からするんだという気配に踊らされ生唾を飲み込む。

「昨日もセックスしたから、あんまり解さなくても柔らかいね」

及川の指が俺の後孔に入れられる。第二関節まで覆うほど、すっぽりといれられて、柔らかくなった肉壁に触れる。二日空く流石に固く戻るが、男の肛門も触れられ拡張されていくうちに、慣れを知るらしい。昨日もケツを掘られたばかりなので、普段より柔らかく、及川のものをすんなり受け入れた。
屈辱以外のなにものでもねぇな。死ねクソ川。

「二本に増やしても大丈夫だよね。そもそも二本にしなきゃ岩ちゃんが好きなことしてあげられないし」
「俺が好きなことってなんだよ」
「え? わからない?」

わかるか! と俺が怒鳴るより先に及川の指がにゅるにゅる動きだし、二本目を隙間から挿入された。空気が潰れる音が聞こえ、卑猥だ。肉壁の中が呼吸を放つたびに、及川の指を締め付けているのが判る。
リアルにケツの後ろから湧き上がってきて、物体としての指がそこに確かにあるのだということを理解させられた。

「これ、好きでしょ」
「ひっ―――!! ぐっ――クズ!」

二本の指が前立腺を挟んだ。
挟まれると排尿感も伴って頭の中が真っ白になってしまいそうな、快楽の大波が俺に押し寄せてくる。身体全体を強制的に動かして、普段、俺が知らない器官まで及川の手中にいるような感覚だ。

「っ――はぁ、ぁ」
「可愛い――岩ちゃんの喘ぎ声」
「っぁ、ぁっぐ――」
「これされると、岩ちゃんって喘ぎ声止められなくなるよね」

チンコを弄っている時に起こる快楽とはまた種類が違い、自制心が利きにくいのだ。細い糸を引っ張られるように、爪が前立腺を霞め、同時に挟まれることにより摩擦が起きて、脳内の電気信号がショートする。

「勃起しちゃってぱんぱんだね」

及川が俺のチンコに触れる。勃起してコックリングがはち切れそうなほど伸びきっている。怒張して赤く染まったチンコは自分の息子でも少々グロテスクな物体に映る。
及川は空いている方の指で亀頭に僅かに触れた。それだけでも、爆発してしまいそうだ。

「っ――ぁ、ちっぁ」
「おしっこも出したいし、精液も出したいし大変だね岩ちゃん」
「っぁあ、っ、知るか!」
「知るかって岩ちゃんの身体なのに」


意地悪く口角を上げた及川は俺のケツから指を抜き、立ち上がるとラブホに備え付けられた化粧台の引き出しから玩具を取り出した。ウゲェ。ラブホってこんなものまで設置されてるのかよ。んで、なんで知ってんだよ。腹立つな。

「これ、使おうか」

拒絶件なんてものは俺にはなく、及川の満面の笑みとともにピンクの卵型したローターがケツの中にいれられた。前立腺にあたるようぐっと奥まで押し込まれる。
今さらだが、それ入れて大丈夫なのかよ。2890円のラブホだぞ。病気貰ったらどうしてくれるんだテメェ。
大丈夫、大丈夫ってなんだその不思議な笑みは。


「スイッチオン」

及川が俺に見せつける様にして、電源を入れる。
突如として後孔の中でローターが縦横無尽に動き出した!

「ひっぁ――っぁぐぁ」

人間じゃ出来ない小刻みな電動をローターは可能にしているようだ。振動が伝わってきて、排尿感が更に深まる。それに、及川がローターで悶える俺をじっと凝視しているのも気に食わなかった。
自由な手を振りかざして、及川から俺の顔を見せないようにする。本当は身体全身を見ること拒みたかったが上手く動かすことが出来ない。

「や、やめろっつぁ、よ、みてんじゃねぇ」
「見るなって言われれば見るよね。岩ちゃん、今度ハメ撮りしよっか。玩具ぶっさしたまま放置とかってどう?」
「ふざけっぁ、ひっぁあ、も、やめろ、及川っぁ」
「許可してくれたらやめてあげる」

にっこりと笑った。
悪魔かてめぇは。どれだけ性格悪いんだよ。ふざけんな!
けど、俺は焦らされなまくっている現状をどうにかしたくて、首を全力で振った。及川はとても機嫌良さそうに俺の顔をつかみ、涙と涎でぐちゃぐちゃになっている俺の顔にキスをした。

「っぁ、はぁっ――」
「はは、岩ちゃん約束だよ」

なにそんな興奮してんだ。キモイ。
ローターを突き刺したまま、太腿を掴まれ、正常位で及川のチンコが俺のケツの中にまで入ってきた。無機質なものではなく及川の熱いチンコが俺のケツの中を刺激する。

「はぁっぁ――ひっ――ぁ、でけぇ」
「もう、そういうの止めてよね岩ちゃん!」

俺のチンコ爆発しちゃう! と及川はふざけたことを言いながら俺の中に入ってきた。一層のこと爆発しちまえ。腰が前後に動かされ、チンコに嵌められたコックリングが及川の手によってとられる。

「はぁっつぁ、馬鹿、か、てめぇ、ションベンかかるぞ」
「岩ちゃんのだったらかけて欲しいね」

もう、完璧に変態だこいつ。どうすりゃいいんだ。
悩んだって俺の精液とションベンは止まらない。及川とローターがケツの中で同時に俺を責めて正気な自分なんてもんどこかへ飛んで行った。

「っぁ――イくっぞあぁっつ!!!!」

精液を及川の腹に吐き出した後、堰き止められていたションベンが及川の腹にあたった。俺の中に及川の精液も吐き出されて、ああ、気持ち悪い。
恥ずかしいとかいうのどこかへ吹き込んで、疲れてしまったからだは急速に眠くなっていった。


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