(きれい)
少しずつ夜が出てきている空は、赤とかオレンジとか黒とかが混ざっていて、とても綺麗だった。歩きながらもついつい空をみてしまうものだから、さっきから何かしらに躓いてばかりでいる。
「…なんか、シュウみたい」
最近天馬が考えることは、あの島で会った彼のことばかりで、
なんとなく、なんとなくではあるけれど、もう会えないんだろうなとも思っていた。
(あの、色がいっぱい交じってるとこがシュウの目みたい、あそこで、間近で見たときにキラキラしてて綺麗だった、もう近くで見れないのかな、サッカーもまたやりたいのに)
空から目を背けて下を見る。柔らかさのないコンクリートばかりだ。
「シュウのばかー…かばー…」
「…、はは、カバって何なの」
「…え?」
シュウ、と呼んだ自分の声は、ちゃんと音になっていたのだろうか。
「天馬に会いたくて来ちゃった」