素直じゃない君が可愛くて
金木犀の香りが漂い、曼珠沙華が咲き始めた神無月。
君と神無月を過ごすようになって今年でもう3年目。
君は、”誕生日なんて祝わなくていい”って毎年言っている。
だけど俺は、そんな君の言葉を無視して毎年祝っている。
今年も同じように俺たちは神無月の10日を一緒に過ごしていた。
「毎年、毎年、よくあきねぇな」
君は、深くため息をついた。
「あきるわけねぇだろ、大切な奴の誕生日を祝うことに」
俺も真似してため息をつけば君は俺の頭をたたいてきた。
「何すんだ、バカ銀」
「バカはお前だよ。何度も言ってんだろ、この日は俺が生まれた日じゃねぇんだよ」
「だけど、この日が大切な日だから、神無月の10日を誕生日にしたんだろ?」
俺がそう言えば、君は言葉につまってしまったみたいだ。
君の本当の誕生日は俺はもちろん君も知らない。
神無月の10日を誕生日にした理由も知らない。
君がまだ話したくないと言うのなら、俺は無理やり聞き出しはしない。
「・・・祝いたければ祝えよ」
君は、冷たくそう言い放ちそっぽを向いた。
そんな君を俺は、そっと抱き寄せた。
「誕生日おめでとう、銀時」
そう、耳元でささやけば君の耳はどんどん赤くなっていく。
「恥ずかしいことすんじゃねぇ・・・っ!」
「誰もいねぇんだからいいだろ」
そう言って、君の唇にキスをすれば君はもう文句を言わなくなった。
「あり、がと」
「どういたしまして」
君は、恥ずかしそうに、でも、幸せそうに笑ってくれた。
素直じゃない君が可愛くて
(何度も君を祝いたくなってしまう)
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