君に風光る

高3春、俺達はお互いに大学が決まり、卒業もし、暇を持て余していた。

今日も暇人同士、マックでだべっていた。

「なー土方暇...」

そう、俺が言えば土方は俺だって暇だとため息をついた。

暇すぎて頭が可笑しくなりそうだ。

受験中は早く終わって遊びまくりたいと思ったがいざ終わってみると何をしていいのかわからないのだ。

「あ、」

土方は良いことを思いついたと笑った。

「くだらねぇことだったら殴るぞ。」

「くだらなくねぇよ。あのな...」

土方の思いついたこととは、こういう内容だった。

青春18切符?というものを買ってぶらぶら旅行に行こうぜ!だと。

値段は一万円だそうだ。

「いいな!俺、田舎に行きたい!」

馬鹿みたいにはしゃぐ俺を土方は呆れながらいいぜと言ってくれた。



それから、切符を買いさっそく俺達は旅に出た。

田舎と言ってもどこに行くかなんて決まっていなくて適当に電車に乗った。

ゆらゆらと電車に揺られながら他愛のない会話をして、お互いに持ってきたお菓子を食べ合った。

「お、このチョコ美味いな。」

珍しく土方が甘い物をほめた。

「だろ、だろ!?春の新商品だって。」

俺が買って来たのは桜味のチョコ。

見た目はすごく甘そうに見えるけど味は少し塩味も聞いていて甘すぎずちょうどいい。

「次終点だな。」

「うん、じゃあ降りようか。」

「そうだな。」

○○駅ー○○駅ー

ガラガラとドアが開く。

降りたった駅には人はいなく何もない寂しい駅だった。

まさしく田舎と言った感じだ。

俺達は適当にぶらぶらと歩いた。

暖かくて、とても気持ちがいい。

「良い場所だな。」

土方は空を見上げそう言った。

俺も同じように空を見上げる。

綺麗な、綺麗な、青空が広がっていた。

「こういう場所いいよな!」

少し先まで俺は走った。

「転ぶなよー」

「転ばねぇよ、馬鹿!」

そう、言った時だった。


ざあぁぁぁぁぁ


強い風が吹き、風に乗って良い香りがしたのだ。

「土方、あっち行って見ようぜ!」

「どうかしたか?」

「何かある気がするんだ!」

駆け出した俺に土方は必死についてくる。

しばらくした所で俺は立ち止まった。

「急に止まるんじゃ...」

土方はそこまで言って止まった。

「すっげぇ...」

目の前に広がる光景に言葉を失ったのだ。

「さっきの香りこれだったんだ。」

目の前には美しい花畑が広がっていた。

とても綺麗でこの世のものとは思えない。

春の陽光の中、そよそよと風が吹きわたり、花を揺らす。

「こんな綺麗なもの、初めて見た。」

「そうか?俺はもっと綺麗なもの見たことあるけどな。」

「え、まじ?」

「まじまじ!」

「えー」

これより綺麗なもの?

信じられないという顔をしている俺をそっと土方は抱き寄せた。

「お前だよ、ばーか。」

耳元でそう、土方は囁いた。

「なななな....!」

口がうまく回らない。

なんつーことを言うんだ、こいつは。

恥ずかしいじゃねぇか馬鹿やろー

でも...

「あり、がと」

ぎゅうと土方に抱きつけばその優しい暖かな手で髪を撫でてくれた。


君に風光る
(太陽の光りがきらきらと君の銀色の髪を照らす...それがとても綺麗で、このまま時が止まればいいと思った)



あとがき

ライラックに寄せる恋様に提出した作品です!
お題は「風光る」でした。
土銀の学パロが好きすぎる、私。
学パロ好きだ!
2人の行った御花畑はクラナドに出てきたような場所を勝手にイメージ。

土銀、大好きだ^^

次は生徒×先生を書きたい。


うい様、素敵な企画を作ってくださりありがとうございました!
皆様の作品公開が楽しみです。







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