魔法が解けたシンデレラ

「好き」

そう想いを打ち明けたあの日から俺の幸せの場所はあなたの隣になった。

会えばいつもケンカばかりして、周りから呆れ顔で見られていた。

なかなか進展しない俺達を気づかって皆は強力してくれた。

「銀さん、土方さんのことなんて呼んでるんですか。」

ある日、新八がそう聞いて来た。

「土方とか大串くんとか?」

そう、言えば大袈裟に新八はため息をついた。

「何だよ。」

「そんなんじゃだめですよ。」

これだからマダオはと神楽にもため息をつかれた。

「名前で呼んであげたらどうですか?」

そう新八に言われてしばらく立った頃、土方に会いに屯所へ向かった。

「十四郎」

「どうした、名前で呼ぶなんて初めてじゃねぇか。」

「何となく。やだ?」

「嫌なわけあるか。ずっとそう呼んでくれ、銀時...」

それからの俺達は周りからバカップルと言われるほど甘い生活を続けた。

お互いの名前の呼び方も手の繋ぎ方もぎこちなくてそんな頃が懐かしいほどずっと一緒にいた。

泣いて、笑って幸せな毎日だった。

でも、見てしまったんだ。

あなたが綺麗な女性と歩いている姿を。

「十四郎、話があるんだけど」

そう言って、俺は俺達の想いが通じあった場所にあなたを連れてきた。

「別れよう」

ただ、一言そう言った。

あなたのことを嫌いになったわけじゃない。

でも、これ以上あなたのことを好きでいるのは辛いんだ。

好きなのに信じているのに疑ってしまう自分が嫌なんだ。

「お前がそう言うなら別れてやるよ。...じゃあな」

ひらり、と手を振り土方は去って行った。

違う、違う...!

「別れよう」って言ったのは「別れたくない」って言葉が聞きたかっただけなのに。

「ひじ、かたぁ...っ!」

ぽたり、ぽたり、と流れ出たのは涙で、ぬぐってもぬぐっても止まらなかった。



次の日俺は万事屋にある土方の物を片付け始めた。

お揃いのマグカップも全部二人で選んだ物だけど、きっとこれは好きという気持ちと一緒にあなたが置いていった物。

そんなことあるわけないのに勝手にそう思い込んでまた泣いた。

もしかしたら、何かの間違えかもしれない。

携帯を見ればあなたからの連絡があって、待ち合わせ場所とか決めて今日もデートがあるかも。

そんなバカみたいなことを思って携帯を開き、受信を押した。

でも、そこに書いてあったのは「新着メールはありません」の文字だけ。

「な、にしてんだよ...っ」

自分の行動がバカすぎて、携帯を投げつけた。

「土方のバカやろー!!!」


後、少ししたらあなたの物もアドレスも全て消すから今はまだ残して置いていいよね。


きっと必ずあなたのこと思い出にしてみせるから。

魔法が解けたシンデレラ
(ガラスの靴じゃ俺は歩けないから)
(だから、あなたはまたガラスの靴を履けるひとを)
(探しにいったんだよね)




あとがき
奥/華子/さんのシン/デレラで土銀でした><
久々の土銀が悲恋ってどうなの・・・
奥/華子/さんの切ない曲はすべて土銀に変換してしまいます。
変換すると本当泣けますので暇があれば聞いてみてください^^
次は明るいお話が書けたらいいな!

2012/03/08







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