勉強の夏、恋の夏

梅雨が完全に終わり、暑い、暑い、夏がやってきた。
俺たち高校3年生にとっては1番大事な時期だ。
俺と土方は2人とも大学に進学する。
土方は優等生だから推薦で行けるけど、俺は一般入試で行く。
夏休みが始まる1週間前の放課後、俺は教室で土方に勉強を教えてもらっていた。
その教室には俺たち2人しかいなかった。

「・・・なあ、土方」

問題を解いている手を止めて俺は土方の顔を見た。

「何だ?わかんないところでもあったか?」

土方は俺の答案を見ながらそう聞いてきた。

「何だ、出来てんじゃねぇか。」
「問題のことじゃなくて、えっと・・・夏休みのことなんだけど」

・・・夏休み
今年は去年みたいに遊べないってことはわかっている。
けど、1日だけでも遊びたい。

「夏休みがどうした?」
「・・・1日だけでも遊ばない?」

そう言ってから俺は返事が怖くて俯いた。

「俺たち受験生だぞ?」
「わかってるけど・・・」

そんなこと自分が1番わかっている。
けど、高3の夏は今年1度だけ。
だから、土方との思い出も作りたいんだ。
土方は思い出を作りたいとは思わないのかな?

「・・・やっぱダメだよね。」
「ダメなんて言ってねぇだろ」

土方は教科書をペラペラめくりながらそう答えた。

「ほ、ほんと?」
「1日だけだぞ?」
「うんっ」

嬉しくて、嬉しくて、自然と笑みが零れた。

「その代わり、夏休みまでみっちり勉強するぞ。」
「りょーかいっ!」

夏休みなんて来なければいいのに・・・
ずっとそう思ってた。
けど、土方と一緒に遊べるんだと思うと嬉しくて早く来て欲しいと思えた。

「とーしろー大好き!」
「何だよ、突然。」
「なんとなく言ってみたかっただけ!」

俺は、そう言ってからまた問題を解き始めた。


勉強の夏、恋の夏
(きっと一生忘れることの出来ない)
(夏になるだろう・・・)










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