Jea-lou-sy-?


「えっと、まぁ、うん」
 珍しく歯切れの悪い言い方に、何故だか腹の底がじくりとする。ちらり視線を向けるとシャンクスがそろりとバギーに目を向けてきた。
「あれ、見てたのか?」
「別に。お前がどこの女といちゃついてようと俺は関係ねぇけどな」
 思い出すとムカムカしてきて、バギーはくるりと踵を返した。
 シャンクスがどこの誰と一緒にいようが自分とは関係ない。誰と仲良くしようと、例え女を作ろうと関係なんかないけれど。
 でも、何時もウザいくらいに自分にくっついて好きだ好きだと言っているくせに、とは少しだけ思う。ほんの、少し思っただけだけど。
 シャンクスも見つかったことだし、とっとと船に戻ろう。仕事はまだまだあるし、遅れて置いていかれてはシャレにならない。
 少し俯きムッと唇を尖らせたバギーのその顔を、シャンクスが覗き込んできた。それをジロリと睨み付け顔を逸らすが、シャンクスはじっとバギーを見詰めてくると不意にニカリと口角とつり上げた。
「何だバギー、妬いてんのか」
「はっ?何言ってんだテメェ」
 何ワケの分からない事を言っているんだと目を丸めるバギーに、シャンクスは更に口元をニヤつかせて。
「心配すんなよバギー。俺はちゃんとお前が好きだからな!」
「だからワケの分かんねぇ事言ってんじゃねぇぞこのハデボケがっ」
「だってそうだろ」
「何が」
「妬いてたんだろ。バギー」
 だからそんな顔しているんだろう。とシャンクスは言うけれど。こんな顔はもともとだ。
 ふざけんなと一蹴してもシャンクスは笑ったままで、それどころか抱きついてくる。
「だから何で俺様が妬かにゃならんのだ!」
 ただちょっと、ムカついただけで。
 そう言えば、それが妬いてるって事だと言い返される。けど、そんな事、あるワケが無い。
 全くお目出度い頭だと鼻白んでみせるけれど、では何故こんなにもムカムカしているのか。
「大丈夫だって。あの人はそんなんじゃねぇから」
「だから」
「実はあの人、俺じゃなくてレイリーさんとなんかあったみたいでさ。俺はレイリーさんに言われて話し付けに来ただけなんだ」
 こそりとそう言ったシャンクスの話が本当ならば、あの女とシャンクスは何でも無い、という事になる。
急に拍子抜けしたような気になって、バギーはシャンクスを見返した。知らずほっと息を吐くバギーに、シャンクスはにやにやと笑って。
「安心した?」
「誰がっ」
 ついカッとなり振り上げた腕をシャンクスはひょいと軽く頭を動かすだけでかわした。が、反対から飛んできたバギーの手がゴンとシャンクスの頭の上に落ちる。
「テメェなんざ、何処にでも行ってしまえ!」
 そう叫んだバギーだけれど、しかし顔が何時もより少しだけ熱くなっている様な気がした。


「遅ェぞ見習い達!」
 船に戻ると同時に、船長にシャンクスと2人揃って拳骨を食らわされた。自分で呼んで来いと言ったのに、そのことをすっかり忘れているらしいロジャーがお前らの分だと積み上げられたままの食材の箱を指差す。
「とっととこれ運び入れろ。直ぐに出港だ」
 ロジャーが言い終わる前に、気の早い船がギシリと動き出した。ゆったりと動き出した船はあっという間に陸から離れて行く。
「テメェの所為だからな!」
「何でだよ!」
 何時も通り、ぎゃぁぎゃぁと言い合いながら箱を担ぐ見習い2人の頭の上に風を受けた帆がはためいていた。


おわり


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10月23日のスパークで配った見習いシャンバギです
バギーさんの嫉妬?ん?な話しにしようと思ったら
なんかレイリーさんが貧乏くじ…みたいなことになってしまいまして
レイさんはもっとスマートに事を運びますよね、ハイ
いやでもツンツン子バギは書いてて楽しかったです、はい