本日モ晴天ナリ

03.ルフィとバギー編(?)


「シャンクス?」
おぉ、知ってんぞ。
言って、嬉しそうにルフィはしししと笑った。
そうして、何時も被っている麦わら帽子を手に取ると懐かしそうに眺める。
「シャンクスは俺の恩人であこがれなんだ」
そのルフィの台詞に、バギーは思い切り眉をひそめた。
「あの赤髪がかぁ〜?」
バギーの知る赤髪のシャンクスという海賊は、お調子者で底意地が悪く人をからかうのが趣味みたいな男でとうていルフィのあこがれるような男だとは思えない。
そのくせ、圧倒的な強さで海軍さえも寄せ付けないのだからタチが悪くて仕方がない。バギーなど、赤子をひねるようなものだろうけど、のらりくらりと攻撃を交わしては抱きついたりしてくるから意味が分からない。
先日シャンクスと遭遇した時のことを思い出して、バギーはだんだんと憮然としてきた。その頬を、ルフィがツンとつつく。
「バギーも知ってんだな、シャンクスの事」
「うんまぁ、そりゃあな」
四皇赤髪のシャンクスともなれば、知らないはずがない。これでもバギーは海軍兵なのだ。だから、いくらガープの孫とはいえ、グランドラインのど真ん中でこうして麦わら海賊団のルフィと仲良くお話してるのもどうかと言うところなのだが。
「ところでおまえ、俺の仲間にならねぇか?」
「寝言は寝て言えハデボケが。俺は海軍だぞ」
お前を捕まえる事はあっても、仲間になる事はねぇ。
海賊団を立ち上げてからというもの、ルフィは何かとこう言ってくる。それをハンと鼻を鳴らしながら言い返すのも同じで、その後にルフィは、「俺のじーちゃんも義兄弟のエースも海軍だから関係ねぇよ」と笑うのだ。大いに関係あるだろ、と思うのだが、ルフィの笑顔に何も言えなくなってしまう。
「とにかく!ルフィが認めても、俺は絶対に認めねぇぞ、あんなヤツ」
「あんなヤツってシャンクスの事か?」
「そーだ!あのハデボケ野郎、絶対に俺様が捕まえてやる」
「ははー。そりゃ楽しみだなー」
まぁ頑張れよーとみょいんと腕を伸ばしてルフィがバギーの頭をワシワシと撫でた。子供扱いしているみたいなその手を払うと、今度はぐりんとその手がからみ付いてきた。
「ちょ、ルフィ苦しいっ」
「おー、バギーちょっとでかくなったか?」
「じゃなくてだなっこらハデバカ力っ」
「はいはいそこまでにしとけ」
これまで、弟と部下のじゃれあいを黙ってみていたエースが止めに入った。ルフィの腕をほどき、ちゃっかり自分の腕の中にバギーを納める。
「じゃ、俺たちはそろそろ帰るからな、ルフィ」
「おう!また遊びに来いよ、エース、バギー」
「海軍が海賊船に遊びに来たらダメだろ」
「エースとバギーならいい」
どどん、と仁王立ちして言い切るルフィに思わず呆れる。しかし、こんな船長だからか麦わら海賊団のクルー達も実にのんびりしたもので、あらもう帰るの?また来てね。なんて声をかけてくる始末。
これもトップに似るのかと思うと、ガープを思い浮かべて何となく納得してしまうバギーだった。




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