宝は奪うためにある

「赤と青の夢現」設定シャンバギ←エース
※いろいろあってバギーさんの外見は14歳くらい(中身は四十路前)※
※そんでいろいろあってオーシャンロック号に乗ってます※


「おい、そこのチビ」
後ろからそんな風に誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえてきたが、自分の事では無いだろうとバギーはそのままフォークに突き刺したハムを口の中に入れる。
「お前だよ、お前」
また、誰かが誰かを呼んでいる声が聞こえてきた。その声はだんだんとバギーに近づいてきている様な気がする。
「そこの赤っ鼻」
「だぁーれが赤っ鼻で団子っ鼻だコラァッ!」
ガタン、と椅子を倒しながら立ち上がると「そこまで言ってねぇし」と声が笑う。見れば、火拳のエースが口元をにやつかせながら目の前に立っていた。白ひげ海賊団2番隊の隊長ながら、エースはひとりふらりと現れては自分の船の様な顔をして人の船に勝手に乗り込んでくる。
「ンだよてめぇは」
また来やがったのか。
バギーはそう言うとフンと鼻を鳴らしてエースを睨みつけたが、エースは悪びれる様子もなく、まぁいいじゃねぇかとバギーの前の椅子に座った。バギーも倒れた椅子を起こすとそこに座る。
「で、何の用だ」
シャンクスなら船長室だぞ。
そう言うとエースは用があるのはお前だよ、と皿の上のハムを指でつかんで口の中に入れた。気が付くと、皿の上に残っていたものがほとんどなくなっている。
「勝手に食うなっ」
「お前ちっせぇからそんなに食わねぇだろ」
「食うわっ。それに小さくねぇっ」
確かにバギーは体格的には13〜14歳くらいしかない。大柄の男達ばかりの海賊船では小さく見えるけれど、これでも中身は立派な年なのだ。
「っつーか何の用だ何の」
俺には用はねぇ、さっさと帰りな。と手を振るが、エースは振り返ると手を挙げてコックに飯のおかわりを言い付ける。
「って人の話を聞けっ」
「お前、赤髪の何?」
「………はぁ?」
いきなり聞かれて何の事だと眉を寄せると、だからさ、とエースは運ばれてきた肉にかじり付いた。
「お前さ、すっげー変わってるじゃねぇか。赤髪にもタメだしよ」
まぁこの船の奴はみんなそうだが。
そう言って、エースがじっとバギーを見詰める。
確かに端から見るとおかしく見えるかも知れない。けど、それは外見だけの事で、シャンクスとバギーは若い頃同じ船で同じ見習いとして航海した昔馴染みの仲間で、成り行きでシャンクスの船に乗る事になったとはいえバギーは同等だと思っているし、それはシャンクスも同じで。
「うんまぁ、いろいろあんだよ」
「いろいろって何だよ?」
「だからいろいろだよ…」
2人の関係性を話すという事は、思い出したくもない過去の事も話さなくてはならないという事になる。それは、したくない。
言葉を濁しながら目を逸らしたバギーに、エースはふぅんと鼻を鳴らした。
「どこかの国でさ、戦争やなんかで女を連れて行けない時に」
不意に話を変えたエースがにっと口角を引き上げた。
「お気に入りの若い男連れて行って女の変わりにするってのがあるらしいけど、お前もその口?」
「………あ?」
言われている事の意味が分からず、バギーはぽかんとエースを見遣った。
「だから、お前も赤髪のダッチワイフ的な…」
「はぁぁぁぁぁ!?そんなことあるワケねぇだろぉがぁっ!」
バンと机を叩いて立ち上がると同時に手を飛ばした。が、飛ばした手首はあっさりとエースに捕まってしまって。
「あれ?違うのか?」
「違うわボケェっ!」
何で俺様があのハデバカ野郎の、にっ。
当たり前だと否定すると、そっか、とエースまた口角を吊り上げた。
「じゃ、お前は赤髪のじゃないんだな?」
「当たり前だ。俺は俺様のものだ。誰のもんでもねぇ」
「なら、俺のもんにしても?」
にぃっと眼を細めて、エースは先程捕まえたバギーの手首を己の口元に持って行った。そこに唇を押しあて強く吸い上げる。
「…っ、って、何しとんじゃぁっ」
慌てて手首を戻そうとするが、がっしりと掴まれていて戻せない。それどころか、エース自身が近づいてくる。さすがに白ひげ海賊団で一隊を任せられるだけあって、エースも相当の実力者だ。バギーはすぐに追い込まれてしまう。
「そこまでだ若造」
その時、エースの肩をシャンクスが掴んだ。エースは舌打ちして身体を起こし、ほっとして顔を上げたバギーがまた眉間に皺を寄せる。
シャンクスの顔に縦じまが見える…。
「何かふざけた事言ってたみたいだがなぁ、エース」
ゆらり、覇気を漂わせながら動いたシャンクスがバギーの腰に腕を回して引き寄せた。
「バギーは、俺の嫁だ!」
「…だぁれが嫁だこのハデアホがぁっっ!」
ふざけるなぁっっっ。

晴れた海にバギーの叫びが響きわたっていくのだった。



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え?嫁だよね?^^
何かで見たけど手首へのキスは欲望って意味があるんだそうな^皿^
がんばれバギーv