かみなり、かみなり
空がぴかり、と光った。
少しの間。
「きゃーっ」
「きゃーっ」
そして、がらんがらんと大きな音。
土蔵が揺れた。
「ねえ、ゆらちゃん」
「ねえ、ゆりちゃん」
私達は互いの顔を見合わせて聞いた。
「あれはここに来てから何回目?」
「あれはここに来てから何回目?」
鏡に映したような私達の顔。
真っ黒で丸い目も、どろどろと伸ばしっぱなしの髪も、小さな唇も皆同じ。
着物も、髪飾りも同じ。
「あれはきっと」
「千と四十五回目」
くすくす、と笑う声も、口に添える手の角度も同じ。
手の小ささも同じ。
「きっと、そうね」
「きっと、そうよ」
再び空がぴかり、と光った。
少しの間。
そして、がらんがらんと大きな音。
「かみさま、怒ってるね」
「かみさま、怒ってるよ」
天にいる神様は、私達を罰しているのだろう。
等しく生まれてしまった私達を。
「きゃーっ」
「きゃーっ」
私達は死ぬまで、神の声を聞き続けるのだろう。
薄暗い土蔵の中、静かに遊びながら。
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