ロリポップベイビー
「……ん」
鼻に違和感を感じて目を開けると、美夜子のびっくりしたような顔が見えた。どうやら僕の鼻をつまんでいるらしい。
美夜子はあわあわと辺りを見渡してから、何故かきちんと正座をしてばつが悪そうに笑った。
「しゅう君、おはよう」
「うん、おはよう美夜子」
その様子が子供っぽいのにかわいらしかったから、僕は美夜子の髪をさらりと撫でた。
美夜子は可愛い。
ものを知らなくて純粋だ。
小さくて、幼くて。
僕の大事な恋人だ。彼女はどう思ってるかわからないけど。
「ねえ美夜子」
「なあに、しゅう君」
黒目がきらきらして、吸い込まれてしまいそうだ。
美しい。綺麗だ。
「……何でもない」
美夜子の頬を撫でる。くすぐったそうにびくりと身を震わせたのがかわいらしい。
人は年下でちょっとぼんやりしている美夜子のことがあまり好きじゃないらしい。そして僕のこの恋も。
僕はおかしいんだろうか。美夜子が好きで好きでたまらない。壊れそうな程愛おしい。
「大好きだよ、美夜子」
「私もだよ、しゅう君」
でも、それでも構わない。
そんな無垢な言葉ごと、僕は美夜子を強く抱きしめた。
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