硫化した祈り


「人間って死んだらどうなると思う」

陳腐だけど、何かに生まれ変わるんじゃないかな。

「……貴方って馬鹿ね」

だから陳腐って言ったじゃないか。

「人はね、死んだら燃やされるの。知らないの?」

夢がないなあ。

「それから塵になって空へ昇る」

……それから?

「この星の一部になるのよ」

何だか美しいね。

「いいえ、残酷でもあるの」

何故だい。

「この惑星の大気の一部になって、雲になって、それからね」

…………。

「もし其処で私が硫化水素だったなら、酸性雨を降らせて、建物を溶かすの」

素敵だね。

「ええ、素敵だわ」

…………。

「……私、大人なんて嫌い」

僕は子供が嫌いだな。

「奇遇ね、私もなの」

そうかい。
……ねえ、雨になって建物を溶かした後はどうなるの?

「地中に染み込んで、土壌を汚染するのよ」

花も木も枯れてしまうね。

「違うわ。大人と子供の食べるものを枯らすのよ」

出来るかな。

「きっと、出来るわ。神様が見ているもの」

神様なんて本当はいないんだよ。

その言葉を飲み込んで、僕はそっと目を閉じた。

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拍手小説にする予定だったけどやめました´`


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