贖罪の羊
教室は祭壇、私は羊。
静かなる制裁、目に見えない罰。
家畜のように、虫けらのように、私は毎日終焉に怯えながら生きていく。
周りはクラスメートという皮を被った死神。
騙されちゃ駄目よ、私。
隙を見せたら、奴らは甘い言葉で誘ってくる。
でもね、どんなに甘くても虚言、戯言。
そんな言葉で釣って私の魂を手に入れようとしているのだから。
汚れた机を見つめながら、私は自分に言い聞かせる。
騙されては、駄目。
何があっても、死神に頼ってはいけない。
きっと何もかも持って行かれてしまう。
だけど、私は弱い弱い羊で。
隙を見せず孤独に果てることを考えるだけで、悲しい。
それに、恐ろしい。
ひとりぼっちの私は潰れてしまいそう。
頼って、縋って、依存したい。
でも、駄目。
そうしたら最後、喰われてしまう。
骨の髄まで、ほんの一瞬で。
でも、でも、でも。
葛藤と絶望と希望がぐちゃぐちゃでごちゃごちゃで。
私は草食動物の分類に相応しく、無様に醜く鳴くだけしか出来ないの。
ねぇ、ねぇ、ねぇ。
見つめて接して聞いて話して触って撫でて抱いて構って想って干渉してこじ開けて侵入して踏みにじって征服して束縛して辱めて苛めて壊して愛してよ。
誰でもいいから、何でもいいから、私を認識して。
本当は寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて仕方がないの!
もうやめて、ひとりにしないで。
わたしは、ここにいるよ。
わたしのこころをころさないで。
ねぇ、みんな。
ねぇ、ねぇ、ねぇ。
……。
これは儀式、私は生贄。
こころを刈り取るのは、死神。
箱庭の平和の為には儀式が必要だ。
余計なものは切ってしまわなければ。
地獄は続き、終焉は来ない。
生徒が全員死神になった日
(私の小さなたましいを)
(彼等は静かに喰らう)
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お題:生徒が全員死神になった日
100820 海月の骨さまに提出
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