嗚呼、目覚めよと///


「!?」

危うく、叫びそうになる寸前。
どうにかハンは口を塞ぐことができた。
ぎょっと目を見開いて、すぐ目の前で眠る巨体を見つめる。

「(にゃ、にゃ…にゃ!?)」

両手で口を抑えながら、困惑しながら後退する。
ろくに確認もせずに下がれば、背中にとん、と何かが当たり、バランスを崩した。

「ニャ!?」

がしゃん、といくらかの物を引っ掛けながら、ハンは転倒した。
からからから。
落ちたそれが無常にも音を立てた。

ぱちり。

目の前の轟竜が目を開け、上体を起こした。
ぎょろりと大きく鋭い目でハンを見やる。
互いの目があい、アイルーの背中にざわりと恐怖心が駆け抜けた。

「ひ、ニャ、ま、待つにゃ…っ!ハンを食べても!美味しく!ないですにゃぁぁあああ!!」

それ以上動くことも出来ず、涙目になりながらハンはそう叫んだ。
轟竜はのそりと、大きな右腕をこちらに近づける。
すぐ目の前に迫り、ぎゅって目を閉じ、小さくなる。
…が、いつまでも何もおこらない。

恐る恐る目を開ければ、轟竜の右腕はハンのすぐそばに落ちた例の物を恐る恐ると言った様子で拾い上げ、元の場所へと戻しているではないか。

「に…にゃ……にゃぁ…」

襲われる心配はなさそうだと、ハンがぺたりと地面へと力を抜き、座り込む。
轟竜はと言えば、まるで苦笑でもしているような顔をしては、尻尾でハンを軽く小突いたのだった。




mae  tugi
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