さぁ、寒い冬は終わりましょう///

「こいつにくっついとけばいいんじゃねぇか。」

 リカルドが名案を思いついたと言わんばかりにそういった。こてんと首をかしげたハンとトトがリカルドを見た。

「お前がこいつにくっついてけば、よほどじゃなきゃ状況は悪化しねーだろ。」
「僕が?」
「サイズは上々だしな、狙われることもあるだろうよ。けど、おめーみたいな話ができるやつといれば、話が通じつハンターは引くはずだ。」
「……話が通じないやつはどうするんだにゃぁ。」
「そりゃお前、こいつが誰だか忘れたかよ。」

 ティガレックス様だぜ。この雪山では完全無欠、およそ敵なしの絶対強者。
 リカルドがどこか茶化すように声を出しながらべしべしとトトの頭を乱雑に撫でた。あまりに適当ななで方をされてトトの頭が軽く揺さぶられる。じとりと不満げな目を向けた。

 話を聞いていたトトは、彼の考えについては概ね納得していた。
 たしかに、リカルドの言うとおりなのだ。ハンターたちは時折やってきては意気揚々と突っ込んでくるし。密猟者とおもわれる命知らずも存在しないわけではない。そういう面倒事を幾分減らせるというのであれば、それは彼女にとってありがたいことではあった。

 だが、トトは不機嫌そうに唸りを上げる。

「気に食わねぇのか。」

 そう。彼女はそれでは納得しない。なぜなら、彼女が一番、危険というものを知っているからであった。
 密猟者たちはそれでも後を絶たない。命知らずはこの世からいなくはならない。
 万が一にもハンと行動を共にしたとしたら。その都度、危険にさらされるとしたら。一番危険なのは、それは間違いなくハンなのだ。
 トトはそれをよしとはしない。なぜなら、ハンにとって彼女が恩人であるように。彼女にとってもハンは恩人なのだ。
 珍しく反抗的、どころか威圧感を感じる視線とうなりにはさすがのリカルドは苦く笑った。巨体の轟竜の静かな怒り方というのは、随分と心臓に悪い。彼は首を振りながら「冗談だ」と彼女を諌める。

「な、こいつもこう言ってるんだ。無難にオトモダチでいいだろ。」
「おともだち?」

 なるほど。リカルドはちょうどいい妥協点を探してくれていたのか。
 トトは今度こそ、それはいい提案だと納得しながらハンと顔を見合わせた。一瞬、静けさが通り過ぎる。

「ぼ、ぼくと、友達に……にゃってくれるにゃ?」

 恐る恐ると問いかけるハンに、トトは当然だとばかりに頷き、喜びを吼える。リカルドはそんな二人を、またいつもどおりにべしべしと叩きながら、「俺も混ぜてくれよ」と二人のことを歓迎するのであった。

mae  tugi
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -